From:大森睦弘
神戸の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
今回は
「ヘッドが遅れるテークバックで超自然トップ」
について、お話しします。
テークバックで、ヘッドが体の動きについてくるように、クラブを振り始めることができたら、最高のトップに到達できます。はたして、その意味するところはなにか。
レッスンでのドリルの例
私がレッスンで時々行っていただく、おもりを使ったドリルがあります。
それは、次のような症状の方に対して行います。
手を使ってテークバックしすぎる方、シャットあげの方(フェースを閉じすぎている)、スイングリズムの悪い方、テークバックの軌道が悪い方など。
どんなドリルかと言いますと、「テークバックおもり押しドリル」です。
実は、ショットだけではなく、パターでも有効です。
セットアップしたヘッドの後ろに、おもりをぴったりつけて置きます。
おもりとしては、500g程度のバーベルのウエイトが最適です。
ただし、中身が入った500mlのペットボトルでも、同じぐらい有効です。
そのおもりを、テークバック開始で、できるだけ真っ直ぐ後ろに滑らせるように押します。
ただこれだけなのです。
手の動きをどうしたらいいとか、クラブをどこに向けて、どんな形であげたらいいのか、とか、考えなくてもいいのです。
逆に、おもりの動きの事以外の事を考えたら、うまくいかなくなるという感じですね。
トップの形も、気にしなくていいです。
とにかく、おもりを、まっすぐ後ろに滑らせるだけで、あとは、ヘッドが動きたいように動かしてやってください。
一旦ヘッドがおもりから離れたら、ヘッドが神様で、その神様にしたがって体をゆだねる感じです。
パターなら、今言うガラケー(ガラパゴス携帯、スマホでない携帯)がちょうどいいです。
重さといい、グリーン上の滑り具合といい、まさにそのためにあるような感じです。
ボールを置いてやって、実際にショットしてしまってもいいです。
というか、ほとんどの場合、通常ショットの時に、おもりをヘッドの後ろにおいて、ショットしていただいたいます。
「おもり押しテークバックドリル」と「ヘッドが遅れるテークバック」は、どういった関係?
この「おもり押しテークバックドリル」と「ヘッドが遅れるテークバック」は、いったい、どういった関係なの?と、疑問に思われたかもしれませんね。
実は、この「おもり押しテークバックドリル」をやるときに、ヘッドの後ろにおもりだけおいて、ハイ、このままショットしてみてください。
というと、ほぼ確実に手元よりもヘッドが遅れてついてくるテークバックとなっています。
何も、言わないのに、そうなる場合がほとんどです。
おもりが軽すぎるとそうでもないのですが、だいたい500gもあれば、ほぼ100%、だまっていても、やっていただきたい動きになります。
ヘッドが遅れるテークバックはなぜいいの?
さて、ヘッドが遅れるテークバックができると、なぜ、いろいろな悪い症状、手を使ってテークバックしすぎる、シャットあげ、スリングリズムが悪い、テークバックの軌道が悪いなどが改善できるのでしょうか。
おもりをヘッドの後ろに、ピッタリくっつける事で、動き出しでそれなりの力が必要になります。
ショットで500gぐらいもヘッドが重いと、手の動きでは動かしにくい事を、体が勝手に感じてくれます。
また、おもさだけではなく、地面との摩擦もありますので、抵抗もあります。
そうすると、自然に下半身の大きな筋肉を使って、テークバックを始めてくれます。
下半身をしっかり使ってテークバックを開始する動きが、何も言わなくてもできてしまうのです。
そうすると、見ているだけで、手打ちから体、特に体幹(腰から上の胴体のこと)を使ったスイングに変貌していきます。
そうなると、シャットあげ(腕を左にねじりながらテークバックして、フェースが不自然に閉じてあがり、トップでは右肘が浮いて、ダウンでは右肘が体の正面から外れて振り遅れになりやすい)がましになります。
さらに、スイングのリズムがよくなります。
リズム良く振るためには、下半身が上半身に勝っていることが第一の条件となります。
下半身が上半身に勝というのは、タイミングで勝ち、力で勝つということです。
タイミングで勝つというのは、下半身から先に動き出すということになります。
力で勝つとは、そのとうり、下半身がパワーを出し切り、上半身はそのパワーを受けて、そのエネルギーをすべてクラブに伝えることです。
下半身が使えるとさらにいいことづくめ
下半身が使えたテークバックができることで、上半身は下半身の足りない動きの代償動作をしなくてもよくなります。
代償動作とは、本来動かなければならない動きができず、その代り、別の動作、別の部分が本来活動すべき部分の動きの代わりの動きを行うことです。
テークバックで、腰がしっかり右にターンできないでいると、上半身をたくさん捻って胸の向きを右に向けなければならなくなります。
また、手を使ってテークバックする動作が多いほど、クラブが腰から上の高さにあがってからも、手を使って、クラブを上にあげようとしてしまいます。
そうすると、ほとんどの場合、右肘が外側に外れながら上にあがり、その右肘の位置は、体の正面からはずれた、振り遅れ準備の体制となってしまいます。
振り遅れは、手元が、本来あるべき体の中から、右側の外にはみ出してしまった状態で、振ることで、発生します。
手元さえ、体の中にはいっていれば、ほとんど問題はないのですが。
確かに、手は器用なので、いろいろな事が出来てしまいます。
熟練できているならそれでもいいのです。
しかし、練習不足では、その時によって、動きはバラバラになってしまいます。
ある時は、調子よかったのに、いったいどうやってショットしていたのかわからなくなるなど。
あなたご自身の動きも、複雑すぎて、良い時の調子に戻せないということにもなってしまいます。
さらに「ヘッドが遅れるテークバック」での御利益
「ヘッドが遅れるテークバック」での御利益は、今説明させていただいた、下半身を使えるという事だけではありません。
ヘッドが遅れて、後でついてくることで、ヘッドの重さを感じやすくなります。
ヘッドの重さが感じられるほど、そのヘッドの動きを邪魔しないようにする動きは、やりやすくなるのです。
テークバックの出だしは、下半身につられて動いた上半身の動きが、だんだんシャフトに伝わり、そのシャフトの動きでヘッドが動き出します。
しかし、ヘッドがいったん動き始めたら、一番荷重が集まっているヘッドが、動きの中心になります。
ヘッドに引っ張られて、ヘッドができるだけ自然に動くように体を合わせてあげます。
合わせるといっても、振り子と同じで、振り子のおもりの部分が。ひもや棒で根元につながっているように、ヘッドもシャフトと腕で体幹につながっています。
ですから、体幹とヘッドは引っ張り合います。
この体幹とヘッドの引っ張り合いを感じ、ヘッドが動きたいようにしてあげればいいのです。
また、ヘッドはシャフトに対してオフセット(シャフトの軸の中心から離れていること)があり、シャフトがヘッドを後ろに引っ張ったことで、力を抜くと、ヘッドは開く方向に動きたがります。
そのまま、ヘッドに身を任せるようにして、コック(親指方向に曲がる事)ができたり、右肘がたたまれれば、自然にヘッドは少し開く動きとなります。
ということは、ヘッドの重さにしたがって、トップに向かえば、コックや右肘は自然に曲げられて、来ることになります。
ですから、ヘッドの重さを感じて、それに素直に従う、謙虚な上半身の動きができれば、いいのです。
(動きの映像は、先週発売させていただいたDVD「3ステップ。。。」やDVD「脱・力み」などで詳しくお伝えしていますので、ご参照いただけたらと思います)
その他の「テークバック開始でヘッドが遅れる」ドリル
もう一つ、「テークバック開始でヘッドが遅れる」動きをやりやすいドリルとして、長くて重いものを振ろうとしても、ヘッドが遅れてついてくる感じはつかめます。
長尺パターを持っている方は、それをクラブに見立てて、素振りしてみてください。
通常のクラブよりっも重くて、グリップが太い分、よけい手の無駄な動きが抑えられます。
ただし、練習場の打席で素振りするときは、後ろの打席に注意して行ってください。
普通にセットアップして、グリップをゆるゆるに握っておきます。
手首もリラックスです。
そこから、テークバック開始で、ヘッドが置いていかれるように動かすようにするだけです。
そのまま、ヘッドが遅れてついてきて、トップに向かってだんだん加速すると、今度はヘッドの重さを感じる事ができます。そして、そのヘッドの重さに任せるのです。
テークバックして、トップまでをやってみてもいいです。トップまでが自然にできれば、それはそれは大きな収穫ですからね。
さらにおまけのドリル
次のドリルは、ちょっと難しくお感じになるとは思いますが、これもヘッドの動きを感じるには、良い練習です。
普通のクラブで、ボールに普通にセットアップします。そこから、少しだけヘッドを浮かせて、
一旦飛球線方向にクラブを降りだしてからスイングします。
ほんの少し反対方向へ振り出すだけでもいいのです。
打ち出し方向へクラブを出す程度は、大きくても腰の高さぐらいまでにしてください。
それ以上では、難しくなり過ぎて、ヘッドの重さを感じる練習にならなくなってしまいます。
「ヘッドが遅れるテークバック」いかがでしたか。感じがつかめたでしょうか。
以前のコラム「体」動かす順番の驚くべき効果も参考にみていただけると、さらに理解が深まります。
また、今年(2015年)2月に宮崎で行った合宿で、片山晋呉プロが、長いクラブを使てショットして、テークバックでヘッドが遅れてついてくる感じをつかみました。
それが良いトップにもつながって、さらに、ダウンからボールヒット、そして、フォローまで良くなったのです。
今までこれほどきれいにインパクトプレーン(ボールヒットの時のシャフトが乗っている面)に長く乗っているショットはなかったという、非常に再現性の高い、いいショットを打てるようになったのでした。
では、また。
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