From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、
こんにちは、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)の大森睦弘です。
今週も先週に引き続き、
「ハービー・ペニックとの対話」をお届けしたいと思います。
(私としてもチャレンジの企画です。あなたのご意見、お待ちしています!)
今回で2回目ということで、まだハービーさんのことを
よくご存知でない人もいらっしゃるかと思います。
ですので、先週に引き続き、簡単な自己紹介から。。。
ハービー・ペニック(1904-1995)は、1923年にプロゴルファーの職を得てから
亡くなるまで、トッププロからアマチュアゴルファーまでを教えた、世界的な名コーチです。
このハービーさんは、トッププロもアマチュアも分けへだてなく
「1時間5ドル」という、あってないような報酬でレッスンをし続けました。
晩年は耳が遠くて電話では直接話せないため、
奥さんを介して電話レッスンまで行ったそうです。
そして有名な話が、ハービーさんが60年以上にもわたって、
教えるときに感じたり気づいたことが書いてきたノートがありました。
そのノートは門外不出とされ、同じくゴルフコーチをしていた息子以外には
愛弟子たちにも決して見せなかったそうです。
しかし、ハービーさんが87歳のとき、その門外不出のノートを出版しようと思い立ち、
そして出版されたのが、リトル・レッド・ブック(Little Red Book)という本です。
今では全世界で100万部以上読まれている「伝説のレッスン書」となっています。
この伝説の名コーチが残した「Little Red Book」という貴重なメモをもとに、
「もし今の時代にハービーさんがいらしたら、何とおっしゃるだろう?」
という私の想像をもとに、
私、大森との「対談形式」でお届けしようと考えています。
今回はゴルフにおいても本質的なことでもある、
「クラブヘッドの向きとスイングのどちらが問題か?」
ということについて、ハービーさんが声をかけてくださいました。
クラブフェースの向きへの意識の重要性
(ハ)おーい、ちょっといいかな。
(大)わあ、ハービーさんから声をかけていただけるとは、
思ってもいませんでした。
(ハ)いやいや。ところで、最近は「高速度撮影カメラ」というものが
とても安く手に入るそうじゃが、おぬしも使ってるのかと思ってな。
(大)はい、カシオの「ハイスピードエクシリム」というカメラがあるんですが、
これは値段のわりに結構使えて非常にありがたい道具となっています。
(ハ)ほう。
(大)目では見られない瞬間を捉えられるのは、とても感動的です。
(ハ)そうか。ところで、ボールヒットの時のクラブフェースの向きも
良く見えるということらしいが、どうなんじゃ?
(大)そうですね、ある程度明るさが必要で、屋内ではなく外なら
ボールヒット近辺でのクラブヘッドの向きがしっかり見えますね。
私もレッスンをしている時に、生徒さんにもその場で見せてあげられるので、
本人も納得していただきやすいです。
口で言っても本心では納得していただけないと感じた時は、
第三者的な道具で説得することが近道ですね。
(ハ)うむ。ボールヒットでクラブフェースがスクエアになっていないだけのために、
思ったボールが出ないという場合があるんじゃ。
スイングの他の部分を変えなくても、そこそこいいボールが打てるのに、
ついついスイングのどこかを変えようとしていることがあるんじゃな。
(大)それって、意識を変えるぐらいのことで、
良いボールが出るようになるってことですよね。
意識を変えるだけでいい場合もある
(ハ)そうじゃな。
クラブフェースへの意識を変えるだけでいいとわしが説明しても、
クラブフェースの向きを真剣に合わせようとしてくれないんじゃ。
そして「たったそれだけのことを聞きに来たわけではない」
というような顔をするんじゃな(笑)。
そんな時は、そのカメラを使って見せてあげたら、すぐに納得して、
真剣にクラブフェースの向きだけに意識を集中してくれるんじゃろうな。
(大)はい、おっしゃる通りです。
(ハ)確かにクラブヘッドの軌道とクラブフェースの向きでボールフライトが決まるから、
間接的にボールヒットの時のクラブフェースの向きを説明することはできるんじゃがな。
直接クラブヘッドがボールに当たる近辺で見えたら文句は言えないじゃろうな。
(大)本当に、クラブフェースの向きへの意識が少ないことは、
わたしも実感することが多いです。
本当はそもそもクラブのどこにボールが当たっているのか
わかっていないという問題もありますけど。。。
(ハ)1時間のレッスンに来てもらって、わしが
「クラブフェースの向きに集中してください」
と生徒さんに言っただけで、いやな顔をされたことが何度もある。
(大)それは私も同じです(笑)。
(ハ)じゃがな、帰ってからちゃんとそのことだけをやってくれてた生徒さん達からは、
たくさん手紙が来て「あの大会で勝てました」とか「プロになれました」なんてな。
(大)スイングはそこそこいいのに、ボールをうまくコントロールできない場合は、
ボールインパクトの時の、クラブフェースへの意識が足りないだけということなんですよね。
(ハ)そうじゃよ。まずはクラブフェースの向きが問題なのか、
スイングそのものの方が修正が必要なのかは、しっかり見極めなきゃならんぞ。
そして、人間の能力は計り知れないものがあるんじゃ。
単にクラブヘッドを開くとか閉じるではなく、ターゲット方向に向けようとすることで、
そっちに向けられる能力があるんじゃ。
(大)なるほど。。。
スイングでクラブフェースを直すな!
(ハ)スイング全体としては大きな問題がないのに、ボールが曲がるという場合は、
そんな意識の欠落ということも考えなければならないのじゃ。
(大)うーん。。。確かに、やろうとする意志があればできてしまうことって、ありますよね。
たとえば、地面に置いた平均台の上を歩けても、それが渓谷の吊り橋だったら歩けない。
当然、風の影響とかもあるにしても、まずは意志の問題なんですね。
できるのにやっていないことって、やっぱり多いんですね。
(ハ)そうじゃ。ちょっと意識すれば合わせられるクラブフェースを、
スイングで直そうとすることはないぞ。
逆に、スイングでクラブフェースの向きを合わせるようにさせることは、
やりすぎにもなりやすくて、なかなかうまくゆかないんじゃ。
(大)そうですよね。クラブフェースの向きにこだわりすぎて、
手でこねたりすることもありますからね。
(ハ)そうなんじゃよ。みんなすぐに手でこねくり回したがる。
クラブフェーズをただもっと開くとか閉じるというのではなく、
スクエアにするという意識が大切なんじゃな。
(大)確かにほとんどの方は、スイングそのものをどういじったらいいのかと考えていますよね。
単に意識を変えるだけで、急激によくなるのなら、
ものすごくもったいないことをしているんですね。
(ハ)うむ。くどいかもしれないんじゃが、本当に大切なことじゃから、
これだけは守ってほしいのじゃ。
今、生徒さんにとって、わしらがしっかり見極める必要のあることは何か。
それは、クラブフェースへの意識の持ち方なのか、スイングそのものなのかということじゃ。
そのために、わしはじっくり時間をかけて生徒さんを観察するんじゃ。
(大)なるほど。。。
(ハ)「段取り八分、仕事二分」といことわざが、おぬしの国にはあるんじゃろう?
じっくり見極めて、どんなことを直したらいいいかしっかり見定めてから、
修正にはいる事が大切ということじゃな。
(大)ありがとうございます。
そういえば、私の国に「親の意見と冷や酒は後で効く」という言葉があります(笑)。
今日ハービーさんに教えていただいたクラブフェースの向きのことについては、
生徒さんがその大切さをその場では大したことじゃないと無視されても、
うまくなったときに「あ、あの時の一言が本当に大切だったんだ」
と実感していただけれるように、これからも伝えていきたいと思っています。
(ハ)うむ。そうじゃな。
(大)今日も、どうもありがとうございました。
(ハ)では、またじゃ。
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いかがだったでしょうか?
今回の企画は私の中でもちょっとした「チャレンジ」となっています。
ですのでぜひ、このメールを読んでのあなたの感想、
ご意見などを聞かせて下さい。
さあ、ハービーさんとの対話、果たして次週も続くのか。。。(笑)
どうぞお楽しみに。
では、また。