2014.12.07
From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「技・スコアメイクの要はホントは何?」
について話してみたいと思います。
晋呉さん(片山晋呉プロ)が、
先週のキャノンオープンで優勝し、ツアー通算28勝目。
チーム江連として、本当に感激です。
今年は、頚椎ヘルニアの影響からの激痛で、
ツアー4試合欠場と1試合途中棄権となり、
後半戦に復帰できただけでも奇跡的だったからです。
私は、晋呉さんのプレー分析もやっていますが、
その中に、一般の方にもお伝えしておくことで、
スコアップにつながるヒントがあります。
スコアメイクは、ショートゲームなどと言われ、
私も含め、コーチの多くは
「寄せのアプローチ、パターなどの
ショートゲームをしっかりやるように」
と常日頃、口を酸っぱくして言っています。
しかし、本当にショートゲームを磨くことが
スコアアップの最短路なのでしょうか。
今回は、そんな事について、あなたと考えてみたいと思います。
結論から言うと
とりあえず、結論めいた事を言わせていただきます。
やっぱり、まずはショートゲームを磨いてください。
その最大の理由は、体力に関係なく
その気があれば、いつでもどこでも練習できるからです。
特にパターは。
また、ショートゲームが大切なのかどうなのかという事以前の問題として、
ほとんどの方はショートゲームの練習量が、あまりにも少なすぎますね。
そして、100をまだ切った事のないレベルの方ですと、
ショートゲームをきちんと練習すれば、すぐにかなりレベルアップできます。
根本的には「飛距離」でも…
しかし、統計的にスコアに貢献しているプレーはというと、
あなたもお好きだと思いますが、「飛距離」です。
とにかく、ピンにひたすら近づく事。
これが、あなた本来の能力いっぱいまでスコアを良くするためには重要です。
でも「飛距離」というのを、ただ飛ばせばいいと思ってはいけません。
狙った所に近づくことですから、
ドライバーならフェアウエーキープできての飛んだ距離です。
ここのところ、勘違いは禁物です。
プレーで一番良く使うクラブから順に重要と考えるのではなく、
技術の差が出やすいといか、ミスしやすいクラブが重要という観点で考えると、
どのクラブの練習をしたら、スコアを縮める事ができるかは見えてきます。
統計データからは、ティショットと100ヤード以上のショットでの
ミスを減らすことが、一番影響力が大きいのです。
(米国のマーク・ブローディ氏がゴルフメトリクスのデータを分析した結果、
スコアを縮められそうな要因の約67%と算出された)
しかし、100ヤード以上を改善することは難しい事なので、
改善できた場合の貢献度は大きいが、改善そのものの難易度が高いです。
ですので単純に、スコアへの貢献度の大きな物を優先して練習することが、
果たして効率の良い上達方法なのかどうか。ということですね。
別の統計データとして、一般的にゴルフプレーの半分は、
ピンに対して100ヤード以下のプレーとも言われています。
パターは40%という数字もあります。
こちらの統計からは、上達しやすい100ヤード以下を
頑張って良くする事で、スコアへもだいぶ貢献してくれるということの、
説得力を感じます。
マーク・ブローディ氏の貢献度というのと、打つ数という数字では、
言っている事が違うので、なんだか混乱してしまいやすいですね。
マーク・ブローディ氏の意図しているところは、後半で話題にしますので、
がんばって読み進めていただけたらと思います。
最も大切なクラブ、上から3本
私の実感でもそうなんですが、ハービー・ペニックさんをはじめ、
ベン・ホーガンまでも、最も大切なクラブを重要なものから順に、
3本言うと何? という質問に対しては、、、
みんな口をそろえて、次の様に答えています。
この順番で、パター、ドライバー、ウエッジ。
ジム・マクリーン氏も同じクラブをあげています。
というか、、ジム・マクリーン氏はこの話を聞いて、
確かにそうだと思ったという感じみたいです。
そして、本まで出しています。
「THE 3SCORING CLUBS」では、この3本の使い方を徹底して説明した、珍しい本ですね。
ハービーさんの意見(Harvey Penic’s LITTLE RED BOOKからの要約)は、こうです。
普通のラウンドでは、ドライバーは14回使います。
OKパットは別として、しっかり狙わなければならないパットは、23~25回。
1mぐらいのパットでも、270ヤードのドライバーと同じ1ストローク。
ですから、スコアにとって、パットはドライバーよりもずっと重要。
さらに、パットを沈めることは自信満々にさせてくれるし、
相手に心理的ダメージを与える事もできる。
心的という意味では、ドライバーもすごく重要。
ドライバで何発か林の中に打ち込んだら、やる気も失せてしまう。
「一番危険なことは、ドライバーで目一杯飛ばすこと」と
ハービーさんは最後に一発、釘を刺しています。
晋呉さん(片山晋呉プロ)のプレー分析
わたしは、晋呉さんのプレーの分析をずっとやっています。
そんな中で、分析を始めた頃に最初に疑問に思った事、、、
それは「平均パット数」という数字です。
晋呉さんは「e-PuttGate」という、私が開発した自信作の
パター練習器を気に入って、ずっと使ってくれています。
普段の練習ではもちろん、試合の時のパッティング練習の最後に、
最終調整でe-PuttGateを使っています。
その影響を、数字で示してみたいと思ったのです。
「平均パット数」とは、パーオン
(1パットでバーディ、2パットでパー)したホールにおける、
パット数の平均値の事です。
しかしこれが曲者で、この数字が良ければ
パットが好調と思わせてしまいます。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)のカウント規則では、
パーオンした場合しか、勘定に入れないということになっています。
寄せのアプローチで、ピンに近づいた場合を排除することで、
できるだけパッティングそのものを評価をしようという意図があることは、理解できます。
でも、そんな事を考慮したぐらいでは、
本当のパッティングの調子はわからないのです。
晋呉さんの「平均パット数」の推移を見ると、
e-PuttGateを使っていただいた2012年から、明らかに急激に良くなっています。
それまでの5年間は1.80~1.78だったものが、
2012年が「1.7623」、2013年が「1.7495」。
そして今年2014年が現在のところ「1.7689」。
今年(2014年)は頚椎ヘルニアのために、
パッティング練習もあまりできませんでした。
また、ショットの精度も頚椎ヘルニアの影響もあり、
精度も少し悪くなる事もありました。
それが、長めのパッティングをさせられたという要素もあります。
とはいえ、晋呉さんの場合はショット精度の変化は少ないため、
「平均パット数」に与える、パッティングの影響の方が大きいのです。
この「平均パット数」という数字は、我々の実感と一致しています。
晋呉さんの場合、ショットの完成度も高く、
ショットでスコアを改善することは、かなり難しい事になります。
そこで、ショットへの着眼点は、体への負担を減らしながら、
調子の良かったときの状態を維持する事が重要となります。
ということで、晋呉さんの場合は「平均パット」という数字が、
比較的実際のパッティングの調子に連動したという感じです。
ところが、一般的には「平均パット」がパッティングの内容を反映してくれないのです。
ミドルホールで言うと、セカンドショットがピンに絡めば、パッティングの数字は良くなります。
今年の穴井詩(ララ)プロがそうでした。
グリーンを狙うショットの切れが良くて、パットが好調に見えたのでした。
ですから、パッティングがうまくならなくても、ショットが切れてくれば、
ファーストパットの距離が短くなるパッティンが増えて、
見かけ上、平均パットの数字が良くなるのです。
晋呉さんで行っている分析方法の例
晋呉さんのプレーにおいて、どのクラブを使って
どこにボールを運んだか、を記録して分析します。
米国の試合では、ショットリンクというシステムで、
ゴルフの統計データを収集する事が行われています。
それを使えば、いろいろ分析できるのですが、
日本ではまだ公には行われていません。
そのため、キャディーさんの記録した内容と、私がホール毎に足で稼いで、
どのクラブを使ってどこにボールが運ばれたかを記録していきます。
詳しくお知りになりたい方は、マーク・ブロディー氏が書いた本を
参考にしていただけると、評価項目の一部ですが、
かなり近いこともやっています。
日本語訳本が出ていて「ゴルフデータ革命」という名前の本です。
本当は誰でも、ショットとパッティングの1打1打を
独立して評価できる指標を、喉から手が出るほど欲しいのです。
例えば「平均パット」では、一般的には
パッティングの技量を単独では評価できません。
そこで、マーク・ブロディー氏が考えた、
「稼いだ打数」という概念が面白いのです。
これは統計的に言ったら、今の1打は何打分稼いだ事になるかという事を示します。
まさに私達が欲しかった評価関数(その状態を評価して数字に表す関数)なのです。
同じ1打でも、稼いだ打数は異なります。
例えば、ドライバーショットの1打と、
50cmのパッティングでは、違うのです。
稼いだ打数を評価すれば、
項目ごとに独立した評価ができるという点がミソです。
マーク・ブロディー氏の言う「稼いだ打数」の定義とは、
言ってみれば、プレーする前のボールの状況における、
ピンまでの距離での平均打数から、プレーした後にボールが止まった状況の所から、
ピンまでの距離の平均打数を引いて、
そこから、今プレーした1打分をさらに引いた値、となります。
典型的な例として「ゴルフデータ革命」では、
セカンドショットの評価をする例が書いてあります。
フェアウエーにあるボールからカップまで278ヤード。
その状況でのホールアウトまでのPGAツアー平均打数は3.7打。
そして、ショットしたらカップまで62ヤードのバンカーに止まり、
その状況でのPGAツアー平均打数は3.2打。
「3.7打-3.2打=0.5打」。
そして、1つ打ったので「0.5打-1.0打=-0.5打」。
ということで、このショットでは-0.5打稼いだ事になります。
値がマイナスということは、ミスの程度を現している事になります。
この例ではPGAツアーでの平均値を使っています。
あなたが、PGAツアープレーヤでないならば、あなたのレベルの各ライ、
各距離での平均打数の表があれば、あなたのレベルの中での
各ショットの出来具合を評価することが出来るのです。
それを、ティーショットとか、グリーンに乗るまでのショットとか、
パッティングなどで、各プレーの「稼いだ打数」を足し合わせると、
どの種類のプレーが、あなたのレベルでの平均より良いのか、悪いのかがわかります。
そうすれば、何を練習すれば欠点を効率よく減らせて、
今のレベルより上に上がれるのかが見えてきます。
ま、マーク・ブロディー氏の評価方法では、
傾斜とかラフの深さなどのライの難易度の違いに関しては、
なんとなく納得が行かない点もあります。
例えば、USPGAのコース設定と日本の試合でのJGTOの設定では、
ラフの深さが違うので、単純にUSPGAの平均値は使えないとかもあります。
パターでも、傾斜での難易度が入った表を提供してくれていないとかもです。
これらの、状況の違いによる評価誤差は、
多くのプレーを平均することで、考慮しなくてもよくなる項目もあります。
例えば、パターでの傾斜の影響などたくさんプレーした平均なら、
だんだん正しくなるということですね。
しかしコース設定などは、いくらたくさん
データを取って平均化したとしても、問題としては残ります。
また、米国人と日本人では体格が違いすぎるので、
飛距離に関連する平均は、違いすぎるとかも気にはなります。
ご参考までに、タイガー・ウッズのショットリンクの
データは下記のURLで見ることができます。
↓
http://g-live.info/click/141207_nikkankiji/
ひとりでできるデータ収集方法へのヒント
あなたが一人でもできるデータ収集方法として、
詳しくは別の機会でお伝えしたいと思いますが、
こんな事をやればできるというヒントをお知らせしておきます。
まずは、データ収集する練習をやっていただきたいのです。
実は、データを収集しようとすることだけで、
ゴルフへの意欲が全く違った物になるからなのです。
グリーンセンターまで30ヤード以上あるショット毎の、グリーンセンター
(ピンではなくグリーンセンター、ここが重要)までの残り距離を記録してゆきます。
アマチュアの星、中部銀次郎(なかべぎんじろう)氏は
グリーンセンターとか安全なところしか、狙わなかったとも言われます。
30ヤード以下なら、ピンまで歩測できますが、
それ以上では、歩測していたらスロープレー過ぎますので、
ピンまでの歩測は無理ですね。
そして、グリーンセンターまで30ヤード以下と、
パッティングでは、ピンまでの距離を記録してゆきます。
これらの数字は、通常プレーするときに、普通にチェックする事ですね。
そのために、ヤーデージマーク(グリーンセンターまで200ヤード、
150ヤード、100ヤードを示す標識や木など)もあるし、
最近ではスマホでGPSを使ってできるアプリなどもありますね。
そういえば、ゴルフライブさんからも
レーザーで距離を測定する機器が販売されています。
そして、できればプレー中には記録しないで、
プレーが終わってから思い出しながら記録をつけられると、最高です。
レベル毎の練習
各レベル毎の練習の指針として、私は次のように考えています。
●100をまだ切ったことの無い方
ドライバーのティーショットのOBを減らします。
アプローチとパターを徹底的に練習します。
バンカーショットの知識をしっかり頭に入れておきます。
●90台の方
スライスを直します。
●80台の方
飛距離を20ヤード伸ばします。
ここで言う飛距離とは、フェアウエーに残ったボールの平均飛距離の事です。
ということは、曲がりを減らす事が主な努力目標かもしれませんね。
いずれにしても、ドライバーは無駄な力を取り除くことが、
素直に飛距離を伸ばす最重要課題なんです。
●70台の方
グリーンはずさない考え方と精度を向上させ、パーオン率をアップします。
パターとアプローチを徹底的に練習します。
こんなところでしようか。
そして、何度も言わせていただきます。
ほとんどの方々について、ショートゲームの練習量が
あまりにも少なすぎるという点が、一番気になっています。
では、また。
追伸
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ケガや病気をしてスコアが落ちているような人にはうってつけの内容です。
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