2018.12.09
From:大森睦弘
岐阜の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「大きな力を出す体の仕組みで飛ばす」
というお話をさせていただきます(ビデオ&おまけあり)。
筋肉は伸ばされると、想像以上に大きな力を出すことができ、
この真実を頭に入れておけば、ボールを飛ばすためには
何を行うべきかがはっきりと見えてきます。
ちょっと面白いグラフがありますから、見てみましょう。
(続きはビデオにて)
大きな力を出す体の仕組みで飛ばす
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(おまけ付き)
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筋収縮別・運動速度と力の関係
これは、力の出し方の違いで発揮できる力の大きさが、
動かす速度によってどの様に異なるのかを示したものです。
力の出し方はこのグラフにあるように、3つに分類できます。
短縮性収縮
下側のグラフは「短縮性収縮」と言う、
筋肉を縮めながら動く筋肉の使い方です。
まさに、物を動かすときに筋肉を縮めることで、
物が動く筋肉の使い方となります。
普段の運動はほとんどが
この「短縮性収縮」的な使い方となっています。
「短縮性収縮」では、速く動かそうとするほど
出せる力の大きさは小さくなります。
これは実感と一致しているのではないでしょうか。
走るときでも、走る速度の限界となるのが
この「短縮性収縮」によるものです。
走るときは筋肉を縮める動きで、脚を伸ばしています。
お尻の大きな筋肉である大臀筋を収縮させることで、
股関節が伸びて脚が長くなることが走るときの原動力です。
このときまさに大臀筋の「短縮性収縮」で運動しています。
そのため、走る速度が速くなるほど
大臀筋の出せる力は小さくなることから、
加速できる限界の速度が決まります。
伸張性収縮
次にグラフの上側は「伸張性収縮」と呼ばれている、
筋肉が伸ばされながら動く場合です。
「短縮性収縮」とは全く異なった特性を示しています。
動きが速くなるほど、出せる力が大きくなっています。
これはちょっと想像できないでしょうか。
物を動かそうとしていて、外からの力に押し負けている状態が
「伸張性収縮」状態での筋肉の使い方です。
速く動かされるほど、抵抗できる力の大きさは大きくなります。
これはドロップジャンプと言う、高いところから落ちて
ジャンプする場合に発揮される力の使い方です。
高飛びでもその場で飛ぼうとするよりも、走ってきてその勢いで
地面に脚をぶつけることで、脚には強く押される力がかかります。
そうすると脚の筋肉は伸ばされますが、
そのときに走る速さが速ければ脚を伸ばそうとしながらも
押し負けて脚が曲げさせられる状態になります。
走るのは水平方向ですが、飛ぶのは上方向です。
水平方向のエネルギーを使って、
筋肉を伸ばすことでより大きな筋力を発揮させています。
等尺性収縮
そして、もうひとつ「伸張性収縮」と「短縮性収縮」の接点に
「等尺性収縮」があります。
これは、まさに物を持っていて
静止しているときの筋肉の使い方です。
筋肉の長さが変化しないで筋肉を縮めようとして
力を出している状態となります。
さて、この3つの筋肉の使い方を見ていると、
ゴルフでボールを遠くまで飛ばすためには、
どの使い方が良さそうか見えてきませんか。
「伸張性収縮」で飛ばす
当然、「伸張性収縮」を使えるほど、
ボールは遠くまで飛んでいくことが想像できます。
そうなるとゴルフのスイングでどうやって
「伸張性収縮」を使えば良いのか、知りたくなったことと思います。
一言で言うなら、下半身の動きで上半身をしならせれば良いです。
ボールを飛ばしたいなら上半身はリラックス、
下半身は目一杯のイメージが重要です。
そして、まさにしなっている最中に
ボールヒットさせるつもりでスイングします。
下半身は上半身に比べて筋肉量も多く、
より強い力を出すことができます。
実際には筋肉は伸ばされると、筋肉の中のセンサーの働きで
脊髄反射が発生して勝手に縮もうとします。
そのため、大脳の命令で自らは力を出して収縮させようとしなくても、
伸ばされれば自動的に収縮します。
クラブを振るのは最終的には上半身です。
下半身は「短縮性収縮」で動かし、上半身は「伸張性収縮」を使えば、
上半身に下半身以上の大きな力を出させることができて、
ボールを遠くまで飛ばすことができます。
具体的には、ボールヒットに向かって左足の母指球の少し後ろで
地面を踏みながら、左脚を伸ばす動きで左のお尻を
左後ろポケット方向へ押し込んみながら両腿をキュッと締めます。
そうすると腰から首の付け根である体幹を一枚の硬い板としておけば、
回転させるつもりがなくても下半身のターンでしっかり回転してきます。
このときに、脚の動きで回転させられた体幹の先に繋がっている腕とクラブが、
重さで置いていかれることで左肩甲骨が胸の方向へスライドされます。
そうすると左肩甲骨周りの筋肉は「伸張性収縮」モードとなり、
「短縮性収縮」で動いている下半身のパワーを超えるまでになります。
そして、上半身の「伸張性収縮」の力が
下半身の「短縮性収縮」の力を上回った瞬間に、腕とクラブのリリースが
一気に進んでヘッドが急加速されてボールを打ち抜きます。
下半身で上半身をひたすらしならせようとして、
上半身ではそれに耐えて待っているだけに徹すれば、
上半身は勝手に強くボールを引っ叩いてくれます。
こんなイメージを抱くだけでボールは飛ぶようになります。
まずは、1回のスイングを20秒以上かけて行うゆっくりシャドースイングで、
このボールヒットに向かって下半身の動きで
上半身をしならせる動きをやってみましょう。
そうすれば、実際のショットでも
だんだん上手く「伸張性収縮」でボールを飛ばせるようになります。
「伸張性収縮」をさらに加速させる体の仕組み
「伸張性収縮」をさらに加速させる体の仕組みがあります。
それは、「伸張短縮サイクル」です。
「伸張短縮サイクル」では、先ほど少し見てきたように、
体の反射システムが「伸張性収縮」に拍車をかけます。
人の筋肉には長さに反応するセンサーがあり、
筋肉が伸ばされるとそのセンサーが反応します。
そして、伸ばされたことに反応した信号は脊髄に到達して、
脊髄からは伸ばされた筋肉を縮める信号が発信されます。
この信号は「伸張反射」と呼ばれます。
筋肉が伸ばされる速さが速いほど「伸張反射」も大きな信号になり、
対応する筋肉をより強く収縮させようとします。
通常、意識的に筋肉を縮めようとすると、
大脳から筋肉を収縮させる信号が発せられます。
しかし、脳は能力の限界まで力を出させようとしないで、
リミッターをかけています。
脳からの司令では、通常の状態では
だいたい能力の半分ぐらいしか出せません。
火事場のばか力などと言われるように、
脳が興奮状態になって初めて能力の限界に到達することができます。
そのため、脳からの司令、要するに意識的に自ら力を出そうとしていては
能力の半分ぐらいしか出せません。
ところが「伸張反射」にはリミッターがかかりません。
単純に大きく素早く伸ばされた筋肉には、
より強く収縮するための信号が脊髄から発せらます。
「伸張性収縮」+「伸張反射」+ α →「伸張短縮サイクル」
ここまで見てきた
「伸張性収縮」+「伸張反射」+ αが
「伸張短縮サイクル」です。
ここまでは筋肉だけについて見てきましたが、
実は「伸張短縮サイクル」にはプラスαされる
もうひとつの体の仕組みがあります。
それは、「腱」です。
「腱」は筋肉が骨に繋がるところにある組織です。
筋肉は通常は「腱」よりも柔らかく、
通常の運動では単に筋肉を骨に繋げているだけの役割に見えます。
ところが、「伸張性収縮」+「伸張反射」で筋肉は強く収縮して
「腱」より硬くなると、「腱」が伸ばされてきます。
そうすると、「腱」はゴムのように伸ばされて縮もうとします。
この「腱」のバネ効果がプラスされることで、
まさに「伸張短縮サイクル」と言う伸ばされて縮もうとすることで
爆発的な力が発揮される体の仕組みができあがっています。
「伸張短縮サイクル」を無視して、
能力の限界までボールを飛ばすことはできません。
ゴルフのスイングでしなってしなり戻ることを前提に、
スイングとはこうあるべきだと考えなければ、
最高に効率良いスイングには到達できません。
自転車で鍛える
ついでながら、実は自転車を使うと肩甲骨の「伸張性収縮」を使って、
まさにゴルフでの動きに近い形で肩甲骨周りを鍛えることができます。
ハンドルがバー状のものだとやりやすいのですが、
登り坂で立ち漕ぎしながら脚の力で
肩甲骨を胸の方向へスライドさせるトレーニングです。
やってみると体験できますが、
「短縮性収縮」よりも「伸張性収縮」の方が
強い力を出せることが分かります。
肩甲骨を自ら意識的に背中側へスライドさせる「短縮性収縮」よりも、
脚の力で肩甲骨が胸の方向へスライドされることに耐える
「伸張性収縮」の方が大きな力を出せます。
私は家に居る時は、3日に1回のペースでギアチェンジができる自転車で
わざわざギアを重い側にセットして、やっとの思いで登れるきつさで
20分ぐら登ることをやっています。
これをやるようになってから肩甲骨が動きやすくなるったと共に、
強い力が出せるようになったことをショットで実感できました。
体の大きな力をだす仕組みを理解して、
それをイメージすることで
正しい体の使い方でボールを楽々飛ばしましょう。
では、また。
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