From:近藤雅彦
神田のドトールより
おはようございます、近藤です。
少し前に話題になったこの動画、
見たことある方はいませんか?
投げる前の腕の動きはスムーズですが、
実際に投げようとすると真上あたりで止まってしまう。
とてももどかしく、見ているだけで
こちらも辛くなるような状態です。
以前、僕の生徒さんにパターで悩んでいる方がいました。
スコアはそこまで悪くなく、
ラウンド数もとても多い方なのですが、
毎回パターが40パット以上
練習だと上手くパターが入るらしいのですが、
ラウンド上で実際にパターをしようとすると、
なにか怖い感じがして打てないとのことでした。
怖い感じ、というのは
パターがオーバーするイメージだそうで
ずっと頭に残っているらしいのです。
ずっと下りパットを打つ感じ
オーバーする感じがトラウマとして
鮮明に残っている。
こんな相談を受けて僕は、
この生徒さんもしかしてイップスなのでは
と、思いました。
ゴルフでのイップス
ゴルフにもイップスという病気があります。
・パットをしようとしても手が動かない
・短いパットが怖い
・パットが外れるイメージが常に浮かぶ
こんな症状が出る奇病です。
この病気にかかるとトッププロでも
簡単なパットを外し続けてしまいます。
これはアーニー・エルスが
2016年マスターズでイップスに陥った様子
60cmからの6パットは信じがたく、
見ていて胸が傷んだ方も多いのではないでしょうか。
早く治療すればいいのに、と思うかも知れませんが
この病気には特効薬なんてありません。
イップスの症状は個人の本能、そして精神からくる病なので、
この「方法が絶対正解」という治療法はありません。
僕の考えるイップスの克服法は、
物理的な克服法と、精神的な克服法があります。
物理的な克服法
物理的な克服法は、
・グリップを変える
・姿勢を変える
・パターを変える
これらを様々な組み合わせで試し、
自分に合った克服法を探さなくてはいけません。
100通りの克服法があるのであれば
100通り試すのが近道なのです。
マスターズ2勝、世界45勝のベルンハルト・ランガーは、
過去4回もイップスになっていました。
彼はイップスになるたびに
左右の手を逆にしてパターを握ったり
手と手の間を離した変形グリップを使ったり
と、独自の方法で克服していきました。
ツアー3勝のクリス・ディマルコは、
右手をくちばしのような形にしてシャフトに添える
クロウグリップで克服しました。
同じくツアー3勝のスコット・マッキャンは1990年代、
自身の悩みであったパター下手を
パターヘッドに3番ウッドのシャフトを差し込んだ
お手製の長尺パターでパットを向上させていました。
イップスには特効薬がない以上、
自分で克服していかなくてはいけません。
ゴルフは上がってナンボの勝負、
周りの目なんて構っていられない
そんな割り切りが、イップスを治す薬なのかもしれません。
精神的な克服法
精神的な克服法は、
自分の考え方を変えることです。
イップスになりやすい人の特徴というのは
「想像力が強い人」や、「真面目な人」だそうです。
想像力が強い、というのは
反対に悪い記憶もなかなか忘れられない
という特徴があり、
フラッシュバックを起こしてしまうようです。
また真面目な人は責任感が強く、
失敗に対するプレッシャーを強く抱いていることから
イップスを発症しやすくなっているそうです。
性格が原因となってしまうと
治すのは難しく思うかもしれません。
もしあなたがイップスであるならば、
まずは身近な人やゴルフ仲間に
自分はイップスであるということを打ち明けてください。
イップスの症状が悪化する原因は間違いなく
「自分はイップスなんかではない」と、
思い込んでいることにあります。
ですので、周りに打ち明けることで
失敗を開き直れる環境作りから始めてください。
後々すごく楽になります。
あとこれは、僕が最近興味がある
アドラー心理学の話なのですが、
人間は無意識に
マイナスの状態(良くない状態)から
プラスの状態(良い状態)を目指して
行動している。
目的を達成するために人は行動している
という考え方があります。
原因と結果の法則で考えれば
イップスの原因も必ずあるはず。
イップスだからゴルフが上手く出来ない
ではなく、
ゴルフが上手く出来ないからイップスである
つまりイップスの原因は、
「自分は、本当はゴルフを上手くなりたい訳ではない」
という考え方が出来るのです。
ある何かがなくなれば、スコアが良くなるんだ
という言い訳を作るために、イップスを作り上げるとか
もしあなたがゴルフでなにか悩みがあるなら
僕もほんと最近、
こんな考え方もあるんだなあと知って、
ゴルフのイップスについても考え直していました。
自分は本当に、スコアが良くなりたいのかな?
と、逆算的に考えることも
もしかしたらイップスの克服に役立つと
思っています。
冒頭で紹介した野球のイップス
実は彼、その後イップスを克服していったそうです。
イップスは本人にとってとても苦しいものですが、
それを打ち明けられる環境と、
本人が野球を好きで諦めずに努力した結果が
克服につながったのだと思います。
皆さんの周りに、イップスまでいかないにしても
なにかゴルフで悩み事を抱えている人がいたら、
その悩み事を気軽に話せる環境作りの
お手伝いをしてあげてください。
その方がゴルフを嫌いにならないように。
近藤雅彦
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