2014.06.15
From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、
こんにちは、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)の大森睦弘です。
今回は、
「ゴルフのスコアにとって、
いかにショートゲーム(アプローチ、パター)が重要か」
ということについて、あらためて実感する出来事がありましたので、
そのことをあなたと共有したいと思います。
2014年、サントリーレディースオープン初日。
私は「第15組」のO・サタヤ、シー・ユーティンの組を
18ホールついて回りました。
そこで目にした、ショートゲームがスコアに与える影響力。。。
その驚きについてです。
O・サタヤとシー・ユーティン
O・サタヤは江連忠ゴルフアカデミー契約選手です。
昨年度1勝、今年度も開幕戦のダイキンオーキドレディースで
ツアー通算2勝目を手にしています。
そして私は、O・サタヤに、オフシーズンにはシーズンを通して行う
トレーニングなどのコーチングを行ったりしています。
O・サタヤは先シーズンはパターでのショートが多く、
届かないので入らないというケースが非常に多かったのです。
しかし、今年はその問題もだいぶ解消され、
楽しみな状態となっています。
また、シー・ユーティンはETGAジュニアクラブに所属しています。
なんとまだ高校生なのですが、
中国ではプロの試合で優勝して脚光を浴びています。
そして、中国のナショナルチームの一員でもあります。
中国で試合のない時などは、
神戸の江連忠ゴルフアカデミーに来ています。
わたしは、ジュニアの体幹強化トレーニングを
毎週日曜に行っているのですが、
その中で他のジュニアたちといしょにトレーニングに励んでいます。
シー・ユーティンと始めてラウンドした時の事を、
今でも鮮明に覚えています。
それは昨年(2013年)の事ですが、
非常にコースマネージメントが素晴らしかった事です。
そして、コースに関してメモをたくさん残していたことも、
かなり印象的でした。
さらに、ショットが曲がらない、ショートゲームがうまい。
弱点が見当たらない感じです。
そんな二人が一緒の組でしたので、
私も、すべてのプレーを確認しようと、ついてまわったのです。
二人のプレー内容の「明暗」
シー・ユーティンとO・サタヤ。
出だしからショットの明暗が別れました。
O・サタヤは右にプッシュスライスでラフ。
シー・ユーティンはフェアウエイど真ん中でO・サタヤの20ヤード先。
O・サタヤは昨年度LPGAドライビングコンテストで優勝していますが、
その先のフェアウエーの真ん中にシー・ユーティンのボールがありました。
シー・ユーティンはどんどん体ができてきていて、
飛距離でも飛ばそうとすれば、飛ぶ体となって来ています。
このホールはふたりともパーで上がっています。
次がショートホールで、なんとシー・ユーティンが
ピンの真っ直ぐ手前15ヤードのところにボールを運ぶと、
O・サタヤも1ヤードも違わないところにショットしたのです。
そのホールは、なんとO・サタヤは15ヤードのパッティングを沈めてバーディー。
シー・ユーティンは2パットのパー。
O・サタヤのショットはドライバー以外は大丈夫そうだとその時は感じました。
しかしその後、アイアンも左右のブレや距離のブレがあり、
絶好調とは言えない状態です。
その日一日の全体的なプレー内容としては、シー・ユーティンが
ほとんどフェアウエーの次に打ちやすい所にボールを運べていました。
一方のO・サタヤはラフに入ったり、傾斜に行ったり、
逆球(狙った方向とは反対方向に曲がる)が出たり。。。
ところが、O・サタヤは長い20ヤード以上のパットを2回沈め、
ラフからのアプローチを1回チップイン。
パッティングで届かなかったのが約1回と言う感じで、
(「約」と書いたのは、もう一回は下りで難しいパットで少しショートしたので)
かなりいいというか、かなり神様が見方してくれている一日でした。
この3回のショートゲームは、どれも普通なら3パットや
寄せられないという状況ですので、ここで6打は多く打っていても
まあ、仕方がないというものです。
一方のシー・ユーティンは、ショットが非常に良くて
バーディーチャンスに5回は着いているのに、すべて外れてしまいました。
さらに、ショットの調子が良すぎて、ピンをがんがん狙える状態だったため、
難しいホール(16番)でも直接ピンを狙いすぎて、池に入れてしまいました。
ウオーターショットでうまく脱出できたかと思いきや、
打つ前にクラブヘッドが水に触れて2ペナ取られて、結局そのホールはトリプル。
この16番でO・サタヤは、左の池を避けるように、ピン右サイドにオン。
下りのかなり難しいパットが残るが、ボギーでもしかたないとして、
そこに落としたのでした。
自分のショットの状態からすると、それが最良の場所だったんですね。
実はシー・ユーティンはこの日、ショートホール2つでスコアを落としています。
ひとつはこの16番、そして、6番。
そして、フェアウエーセンターにボールを置いていたにもかかわらず、
ボギーとした9番。
6番と9番は手前のバンカーに入れました。
それは、ショットミスというより、ピンを直接狙った結果
最高の落とし所のほんの少し手前に落ちてしまって、
バンカーだったという感じです。
16番であれだけ痛い目にあっているのに、
ショットへの自身は揺らぎないままだったのです。
ショットは良いので、コースマネージメントとしては
できる事をやっただけという感じです。
まあ、予選で初日なら、そんなにがんがん攻めなくても、
無難なプレーでいいのではとの思いもありますが。
シー・ユーティンは、先週15アンダーで優勝しているだけに、
彼女にとっては
「がんがん攻めてバンカーに入っても、パーを取れる」
「落としても、取り返せばいい」
というアグレッシブな気持ちを維持し続けていたのです。
結局、この日、O.サタヤは4アンダーのトップタイ。
シー・ユーティンは、5オーバーの100位タイ。
もしも、があるとすると…
ゴルフに、「たられば」はありませんが、
もしシー・ユーティンのバーディーチャンスがすべて入って、バンカーに入らず、
ほんのすこし先に落ちていたら、スコアとしては、8打ぐらいは良かったという内容です。
もし、二人のショートゲームの内容が逆転していたら、、、
O.サタヤは2オーバの63位タイ
シー・ユーティンは、3アンダーの4位タイ
といった計算もできない事はありません。
しかし実は、シー・ユーティンの今回のパッティングには問題があって、
入るべきパットが入らなかったという感じでした。
それは、ストロークに、ほんの少し緩みがあったという問題です。
スタートしてからの緩みなので、修正は自分で気づいてもらうしかないのです。
が、彼女うは気づけなかったということが、結果として出てしまった事になります。
本当に、わずかに感じられる緩みなのですが、
それがパットが微妙に入らないという現象を起こしてしまうのです。
ショートゲームの奥深さ
冒頭でご紹介させていただいたように、私はふたりとは他人ではないし
どちらにも勝ってもらいたいので、どちらを優位に見るとかというつもりはゼロです。
そんな中で、今回のようなゲームを観戦できたことは、
私のゴルフ人生の中でも、本当に強烈な印象として残ります。
それは、、、
「ショートゲーム次第で、ゲームの流れは大きく変わる」
という事の、強烈な印象です。
きっとあなたも、ショートゲームがスコアメイクの要いうことは、
とてもよくわかってはいるはずです。
私も当然、いつも選手達はもちろん、一般の方々にもお伝えしています。
しかし、これほどまでに、ショートゲームの過酷さといいますか、
恐ろしさが如実に出るような試合を、今まで見たことはなかったのです。
ですので今回、ちょっと説明ばかりになってしまいましたが、
私が見て感じたままをできるだけあなたにもお伝えできるよう、
できるだけ具体的に書かせていただきました。
「こんな事まで書かなくても」とは思いつつ。。。
上位選手の練習風景
江連忠ゴルフアカデミーと契約していて、
神戸で練習している「何回も優勝経験のある選手の練習」って、
あなたはどんな練習だと思いますか?
片山晋呉プロの場合は、
20~30ヤードキャリーのサンドウエッジでのショットがものすごく多いです。
とにかく、見るといつもやっているという感じですね。
その他の優勝経験のあるプロも、ウエッジでの練習量が多いのは事実です。
江連忠ゴルフアカデミー神戸校の建屋の横には、アプローチ練習用に
95ヤードまで打てる空き地があります。
そして、そこには、距離を示すターゲットとして、
工事用コーンや、タイヤなどを転がしてあります。
そんな殺風景なところなのですが、良い選手ほどそこでコツコツと
距離合わせなどのアプローチショットをやっている風景をよく目にします。
コーチがやれと指示しなくても、あたりまえのように
コツコツ毎日同じ事を繰り返しているのです。
また、建屋の裏にはバンカーがあるのですが、ここではバンカーショットというより、
バンカーアプローチをコツコツやっています。
バンカーアプローチというのは、バンカーからボールを直接ヒットさせる練習です。
この練習の中に、すべてのショットの重要ポイントが凝縮されています。
そんなことを、成績を出している選手は、感じているのだと思います。
パッティングも同じです。
コツコツ狭いゲートに向かってそのゲートを何回通すとか、
1m程度の円陣からホール・インを連続何回とか、
10ヤード前後を2パット以内で連続何回とか。
単純でも効果的な練習を飽きないで続けられる工夫をしながら、
とにかくコツコツやっているのです。
ショートゲームの練習は、やれと言わないとやらないようでは、
やりきることはできません。
コツコツやるという事は、
どこをどう直そうとかで練習するという感じではありません。
・できたことを定着させる
・距離を体に染み込ませる
・考えるより体が動いてしまう
ということを全うするためにコツコツやる、という感じでしょうか。
そして、そのコツコツ練習した結果が試合でスコアとして現れるのだと思います。
たまたま、うまくできない日があるかもしれません。
しかし、平均すればコツコツやった結果は必ずスコアとして現れます。
シー・ユーティンは、サントリーが終わるとすぐに
全米女子オープンに向います。
パッティングの緩みがなくなれば、絶対いい結果を出してくれると思います。
ちょっと長くなってしまいましたが、
あなたにショートゲームの大切さ(恐ろしさ? 笑)を知っていただきたくて、
こんなメールを書かせていただきました。
では、また。