From:大森睦弘
神戸の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「体・アンパランスの魅力」
についてお話します。
バランスが悪い状態でからだを動かすと、関節を安定させる筋肉が、めちゃくちゃ使えるようになります。
両手でやっていたことを、片手でやってみる。
両足でやっていたことを片足でやってみる。
たったこれだけのことで、あなたのからだは劇的に変化するのです。
今回はそんなちょっとしたからだの使い方を工夫して、普段やっている事を少し見直すことにより、単に筋力が強くなったとか、太くなったというのではない、本当に使えるからだを手に入れるヒントをお伝えします。
また、最後の方で、東建、今年の男子ゴルフ開幕戦に思う気持ちを書きました。
わたしが今回のことを重要と考えている理由
わたしは、ゴルフをやる前は、アルペンスキーをやっていました。
あるシーズン、徹底的にウエイトトレーニングをやって、かなり筋力アップしたことがありました。
しかし、それをうまく結果に結び付ける事ができなかったという、痛い経験があります。
徹底してウエイトをあげ始めて最初の1年目、かなり筋力もついたので、成績も?と思ったら、成績は悪くなったのです。
まさかと思って、もう1年やったのですが、はやり結果に結び付いたという感触がないままシーズンを終わりました。
その後、業務の都合で引っ越すことになりました。
それを機会にウエイトトレーニングをやめて、公園でできるバランス中心のトレーニングに変更したのです。
ところが、その年から急激に成績が出るようになり、半信半疑でしたが、結果に明らかに差が出たのです。
ウエイトを持ち上げるようなトレーニングはやらないで、ブランコのまわりの手すりの上で、片脚スクワットとか、手すりの上を綱渡りのように歩くとか、そういうトレーニングです。
ウエイトトレーニングだけでは、関節を動かす筋肉が大きくなった割に、関節を安定させる筋肉が追い付かず、無駄に力を使ってしまう方向になりやすいのです。
ウエイトトレーニングをやるなら、関節を安定させる筋肉の強化も同時に組み合わせることで、最高の結果をだせるようになります。
どんな事をやればいいの
次の事をやるだけでも、ゴルフにとって関節を安定化させるために重要な筋肉と、神経系統を鍛えることができます。
また、筋肉というのは単に強くするという事以外に、動くことでその筋肉を使うための神経、脳も含めて、活性化することができます。
ですから、ターゲットとする筋肉を太くするという事以上に、神経系を強力なものにする効果は大きいのです。
(1) ゆっくりシャドースイング
(2) 片手パッティング
(3) 片脚パッティング
(4) 片手ショット
(5) 片脚ショット
(6) 踵浮かしショット
(7) 板乗りショット
(8) 目つぶりショット
(9) 片脚立脚ぐるぐる回し
(10) 片脚スクワット
それそれの項目は、実際のレッスンやこのコラムなどでも、いずれさらに詳しくご説明させていただく機会を設けたいと思います。
今回はざっと説明させていただきますので、とにかくできそうなものを、あなたなりにやってみてください。
(1)のゆっくり体を動かすことは、まさに関節を安定化させる筋肉と神経をじっくり使う事ができて最高です。その理由など、あとで筋肉その物のお話をさせていただくので、そこで理解を深めてください。
(2)~(5)は単に両手、両脚で行っていたゴルフの動きを、片側だけで行ってみることです。
(ちなみに、わたしは足首から下を足、股関節から先全体を脚、として漢字を使い分けています)
パッティングを片手で行うと、体幹(つまり胴体ですね)がいかに不安定だったかわかります。
体幹の不安定さを腕力で調整していたことが、実感できるのです。
普段から正しく体幹を使っている方なら片手や片脚にしても、意外と簡単に普段と同じようにできてしまうものです。
手打ちでショットをしている方は、特にショットでは片手だと全然打てません。
しっかりからだを使ってショットしていないと、腕の力を弱くしただけで、うまく打てなくなるのです。
ですから片手ショットは、打つのが嫌になってしまって、練習する気さえおきなくなってしまうという状況にもなってしまします。
そんな場合は、小さな振り幅のショットから始めてください。
そして、しっかりお腹をへこめて体幹を安定させ、脚をつかって、ショットしてみてください。
(6)の踵浮かしは、ショットする時に踵を少し浮かせて、地面につけないようにしたまま、セットアップしてそのまま振ります。
フィニッシュでもかかとを浮かせておきます。
これは、不安定になって、関節を安定化させる筋肉と神経が、かなり真剣に動いてくれることはもちろんなのですが、さらにうれしいことがあります。
それは、足裏のどこで荷重したらいいかの訓練にもなることです。
通常のショットでも、母指球の少し後ろあたりで荷重できるといいのです。
踵を浮かすと、本来よりも、ちょっとつま先寄りになりますが、母指球の少し後ろで踏むためにも効果があります。
(7)の板乗りショットは、以前のコラムで動画入りでご説明していますので、参考にしてください。
(お勧めの板のスペックは、幅約6cm、高さ約2.5cmで、長さが60cm以上)
(8)は単に目をつぶってショットするだけです。
テークバック開始で目をつぶって、トップで目を開けてショットします。
全部目をつぶる必要はありません。やってもいいですが、難しすぎて、お勧めできません。
(9)~(10)は、片脚という不安定な状態で、運動することで、ゴルフ以外での運動でも、基本的に重要となる股関節まわりはもちろんですが、体幹を安定させるための動きも簡単に手に入れる事ができます。
アンバランスで思い浮かぶ事
アンバランスといえば、まず思い浮かぶのは綱渡りですね。
スキージャンプの世界で、レジェンド(生ける伝説)といわれ、42歳でもワールドカップの表彰台の真ん中に立つことができる葛西紀明選手のことは、あなたもご存じと思います。
スキージャンプでは、瞬発力が必要で、40歳を超えても世界の頂点に立てるなんてことは、驚異的です。
しかし、瞬発力が落ちているはずの彼を支えているのが、関節を安定化させる筋肉群です。
彼は、スラッグ・ラインという綱渡りをトレーニングの一環として取り入れています。
ちょっとだけ幅のある帯を横に張って、その上を歩く。
さらには、その上でいろいろなパフォーマンスを行う人もいるようです。
でも、こんな綱渡りは、やりたいと思っても、なかなかできる環境はありませんね。
そこで綱渡りに匹敵するような、いつでも、どこでもできる事をお伝えした次第です。
実際に動くときに、頭でも理解していると、さらに効果がアップしますので、 そのための知識を少し付け足させていただきます。
関節を安定化させる筋肉について、ちょっとお話させていただきます。
インナーマッスルのお話でしょ
この関節を安定化する筋肉は、インナーマッスルと言われることが多いです。
インナーというのは、関節を安定に保つ筋肉は、直接はさわれない、比較的深いところにある場合が多いので、内側という意味でインナーという言い方をします。
深層筋とも訳されます。
でも、関節を安定化させてくれる筋肉は、すべてが深層にあるかというと、直接さわることができるものも、実は多いのです。
例えば、お腹のまわりの腹横筋、背骨に沿って走る脊柱起立筋、股関節の内部にあるはずの梨状筋も、一部はお尻の後ろ側に少し根っこを出しています。
ということで、わたしは、関節を安定化させる筋肉のことを、インナーマッスルと言うのは、どうも抵抗があって、あまり使いません。
本当はスタビリティーマッスルという言い方が好きなのですが、認知度がほとんどないので、ここでは、あえて、関節を安定化させる筋肉と、長々しく言わせていただいています。
体幹ともいいませんか
また、関節を安定化させる筋肉は、背骨の周りにもたくさんあります。
そのため、よく次のような言い方をされます。
体幹トレーニングでインナーを鍛える。
確かに胴体である体幹には、関節を安定にさせる筋肉の大部分があるので、その様な言い方も間違いではないし、まさにそのとおりです。
でも、関節は体幹以外にもたくさんあるので、それらをを安定化する筋肉も忘れてはいけません。
体幹はしっかりしても、手足の関節も安定化しなければ、最終的な効果は薄れます。
体幹をしっかりさせたら、手足の関節も安定させることで、体幹を鍛えた効果が実際の動きに活用できます。
ですから、体幹トレーニングといわれる種目の中には、肩関節、肩甲骨、股関節を安定させる筋肉も同時にトレーニングさせるポーズは多いですね。
また、体幹というと、腹直筋、お腹の前側にある、6つに割れるとか言われる筋肉のことを言うこともあります。
これは、上半身を前側に曲げる動きに使われ、関節を安定化するというより、動きそのものに関与します。腹筋をやるというと、主にこの腹直筋を鍛えることになります。
筋肉の種類もちょいと確認
筋肉には、動く速さという観点で、大きく分けて2種類あります。
一つは、速筋です。
色が白いので、白筋ともいわれます。
この速筋は、骨格を動かす筋肉に多く含まれ、速く収縮するけど、すぐに疲れてしまうという性質を持っています。
瞬発力といえば、この速筋ができるだけ多いほどいいということになります。
そして、もう一つは、遅筋。
色が赤いので赤筋ともいわれます。
遅筋は、収縮する速さは遅いのですが、長い時間働くことができます。
速筋と遅筋の割合は、変えられるものならトレーニングで変えたいものなのですが、この割合は変えることができないというのが、定説となっています。
但し速筋と遅筋が混在していて、その割合を変えられないのは、関節を動かす筋肉ですが、関節を安定させる筋肉は、すべて遅筋でできています。
ということで、関節を安定化させる筋肉は、ゆっくり動くことでも、鍛えることができるのです。逆にいうと、からだが速く動く瞬間にはそれほど動かないので、動かしたければ、早く動く前にしっかり動かして、関節を正しいポジションにしておくことが重要となります。
いくら速い動きをしようとしていても、からだのどこは安定化させて、それから、どこを素早く動くようにしてあげたらいいかを考えて、安定化させるべきところをしっかり先行して安定化させるという事ですね。
怪我からの復帰でも関節を安定させることが重要
実は、私の右ひざ半月板は割れたまま、左股関節は関節変形症の進行期なのです。
どちらも、外科医からは、手術しかないと、一旦言われた症状だったのですが、頑張る気があるなら、トレーニングに挑戦してみたらと言われ、結果としては、手術なしで日々過ごしています。
膝の症状が出たのは、私がまだアルペンスキーをやっていたときです。
シーズンまっただ中で、右膝を故障して、普通に歩くこともできなくなったのです。
でも、普段から片脚滑りはトレーニングとして結構やっていたので、まだ無事だったもう片方の脚一本で滑る練習を続けました。
そして、試合では両足にスキーを付けて、なんとか滑り切りました。
国体やらいろいろな大会も終わり、シーズンを振り返ると、まあまあ普段と遜色ないぐらい満足いく結果が出せたのでした。
その後は、トレーニングで、関節を安定化させて、なんとか手術しないで、切り抜けています。
徹底して片脚滑りをやってことで、関節を安定させることで、バランス保持しようとするからだの機能が、目茶苦茶強化できたことが、怪我をした右膝の分もカバーしてくれたのだと思います。
左股関節は、ちょうどコーチをしていた選手の、キャディーなどもやっていた頃のことです。
ゴルフシーズンが終わって、体を休める事ができたにもかかわらず、左股関節が夜寝ていても、痛みで起きてしまうという状態が続きました。
そこで、スポーツドクターに診てもらったら、いきなり大学病院を紹介されて手術より方法はないと言われたのです。
しかも、大学病院でも、股関節置換しかないと言われました。その時の、ショックは、今でも、忘れられません。
選手のキャディーはもちろん、ゴルフが今までと同じようにはできなくなると思ったからです。
ジャッック・ニクラウスも股関節置換手術をやって、その後、試合にも出ていますが、特別なケースだという話をされました。
しかし、これもセカンドオピニオンで、結局は、やる気があるなら、トレーニングで、ある程度持たせることはできるかもしれないといわれたのです。
結局、手術せずに、トレーニングで普通にゴルフしています。
左股関節は、スキーで転倒して、アイスバーンにお尻をかなり強くぶつけたことが原因で、中殿筋と大殿筋が癒着して、中殿筋がうまく動けないまま、大殿筋がその代償動作を何年も行って来たことが原因の様でした。
人は、奪われると、必死にもがくことで、新しい発見、普通ではできないような事ができてしまうものです。
私の一部失われた右膝半月板と左股関節軟骨は、医学的には戻ってはきません。
しかし、体を正しく無理なく使ってあげることと、関節を安定化させる事を徹底的に追及したトレーニングが、それを乗り越えさせてくれています。
そして、なによりも、関節を安定化させることを主目的にしたトレーニングによって、ゴルフでの動きも、かなり楽になりました。
まさに、転んでもただでは起きない。という感じでしょうか。
関節を安定化させる筋肉と神経は、その日の生活をはじめる最初に刺激できるといいのです。それで、お布団の中でもできる体操を開発しました。
わたしも、もちろん毎朝お布団の中でやっていますが、80歳を過ぎて脊椎狭窄症の手術をされた方に紹介して、毎朝やっていただいています。
手術からの回復も早く、調子いいようです。
あなたもいろいろな問題を抱えていることと思いますが、逆境を逆手にとって、パワーに変えてください。
すべてがバランスよくそろっていなくても、その状況の中で、できる限りの最高のパフォーマンスを発揮することが、私たちに与えられた使命だと思います。
「神は無駄なものは与えない。」
逆境も含めて、私には、無駄なものは与えられていないと信じることが、私の人生を大きく支えています。
すべてを受け入れ、その中でできることをいっしょうけんめいやるということですね。
もうすぐ男子ゴルフ開幕戦である東建が始まります。
私にとって東建は、手術を宣告された状態から這い上がって、選手のコーチ&キャディーをやった、思い出深い大会でした。そんな私を、信頼してくれた選手にも、感謝です。
今年の晋呉さんは、開幕からのダッシュを狙っています。
去年の突然の故障から戻ってきての優勝という勢いがあります。
そして、オリンピック強化選手としての責任と意欲を燃やして、年齢なんか吹っ飛ばす勢いで、続けてきたトレーニングと技術練習の成果が、問われる楽しいシーズンが始まります。
では、また。
追伸
私も制作に関わりました梶川プロの「バンカーショットを極める」が、
キャンペーン中だと聞きました。
バンカーに落としてしまったからといって、
諦めてはいけません。
梶川プロが脱出する方法をたくさん詰めこんでいましたので、
ぜひご覧になってみてください。
↓
http://g-live.info/click/birdie150407/