2014.01.19
From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、
こんにちは、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)の大森睦弘です。
今回は「足首の柔軟性」について話してみたいと思います。
体の柔軟性について前屈の深さがどれだけなければだめだとか、
しっかり両手が床に着かなければ固いだのどうこう言われます。
ところが、意外と気づかれないでいて、
実はかなり重要な部分の可動域というのが、「足首」なのです。
足首の可動域の影響
実はなっちゃん(堀奈津佳プロ)は足首が硬かったんです。
ずっと前に、なっちゃんのスイングはダウンで右膝が体の前の方に出てきて、
腰の回転が止まりそうになるのを、無理やり回していたり、、、
腕の通り道が狭くなり、プッシュアウトしそうなのを、
なんとかうまくこなしていたりしました。
そこで、私は足首の可動域が足りないのではないかと思い、
なっちゃんの足首の可動域チェックをやってみました。
なんと驚く事に「ヤンキー座り」でも踵(かかと)が床に着かないんです。
言い方は悪いですが、ヤンキーだって
両膝頭をくっつけて、両足を並行にしてやりますよね(笑)。
ついでに他の柔軟性も見てみたところ、
やっぱり、足首が異常に硬いことがわかりました。
ここまで足首が硬いと、ダウンスイングで腰がターンしてきて
45度ぐらい打ち出し方向に向いたあたりで、
右足内側で圧力を受け止められなくて、
打ち出し方向とは90度違った方向にエネルギーが逃げてしまいます。
また、傾斜地、特につま先上がりでは、ベタッと地面を踏めなくて、
バランスが悪いばかりか、パワーもうまく地面に伝えられなくなります。
どうすればいいの? 硬い足首
そこで、なっちゃんには静的ストレッチングを勧めました。
可動域を広げるためには動的ではなく静的ストレッチが一番です。
動的とは10秒以下の曲げ伸ばしを繰り返すストレッチングで、
静的とは30秒~1分伸ばし続けるストレッチングとなります。
しかし足首の静的ストレッチングはあまりにも地味過ぎて、
なかなかつづかないというか、普通はやめてしまうことが多いのです。
いくら言われたことをやりつづけてくれるなっちゃんであったとしても、
さすがに足首の静的ストレッチングはやめちゃうだろなと思ったのです。
では、どうするように言ったかというと、歯を磨く時に
片足づつ前に出すようにしゃがんで、前に出した脚の膝の上に体重をかけて
足首をできるだけ深く曲げる姿勢を保つということです。
そして、歯は磨き方として上の歯の表、下の歯の表、上の歯の裏、
下の歯の裏というように4分割して、それぞれで、
右脚前、左脚前、それを2セット。
だいたいそれぞれの区画で1分ぐらいは磨くので、
静的ストレッチングとしてはちょうどいいのです。
しかも、ストレッチングは1セットよりも2セットの方が断然効果が違います。
できれば、3セットなんですが、さすがにそこまで要求すると、
逆にやる気がなくなって、続けられない方がマイナスだと思いました。
これは毎回歯を磨く時にできたら、可動域を確保できるまでには時間はかかるけど、
ショットにもいいことがあるよ。と伝えたのでした。
まだまだ理想的な可動域までは達していないのですが、
右膝の動きは良くなってきて、ツアーでも2優勝手に入れました。
みなさんもチェックしてみてください
みなさんも、ご自分で足元並行ヤンキー座りをやろうとしてみて、
踵(かかと)が浮かないかどうかチェックしてみてください。
踵を床に無理やりでもつけた状態で、バランスがとれれば良しとします。
もし、だめな場合は、なっちゃんのように、歯磨きの時は忘れずに
「片足ヤンキー」をやりながら(笑)、磨いてみてください。
別の対処方法
同じように、足首が硬い場合のケースを付け足させてください。
それは、なっちゃんのように柔軟体操では対処しないで、
スイングで対応する事にした例になります。
実は最近、佐藤祐樹プロの身体チェックをしました。
その方法は、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)で開発した
「フィジカルフィッティングプログラム」のチェックリストを使って、
体の各部分の可動域、ゆがみ、バランス能力、
調整能力などをチェックするというやり方です。
その結果、可動域は全体的には良い方なのに、部分的に悪いところがありました。
それは、右肩と足首と股関節内旋です。
実は、祐樹プロは上半身を使うショットが得意で、特に右腕がすごいんです。
しかし、ボールコントロールの精度を良くしなければならないことを実感して、
江連忠ゴルフアカデミーの門を叩いたのでした。
右腕も使いようで、便利で即効性があります。
ETGAでも「左腕は命綱、右手はパワー」と言っています。
しかし、トーナメントで戦うような厳しい状況だと、
本人の微妙な感覚にかなり依存します。
それで、感覚が狂ったり、関節の可動域などが変化した時に、
急には対応できない場合もあるのです。
祐樹プロは、下半身の可動域チェックで、
内旋、しかも両脚とも可動域が正常ではないのです。
そのため、下半身をうまく使ったショットはやりにくく、
上半身に頼っていたと推測できます。
実は内旋可動域が片側だけなら、
セットアップのやり方で上手く逃げることができるのですが、
両脚となるとかなり厳しいのです。
しかし、なんとか足を使ってショットするやり方を見つけることができて、
かなりいい感じになってきたのです。
ところが、足首の可動域については、平坦なところなら
ショットには支障がない程度の可動域でしたが、傾斜地では厳しそうでした。
それで、つま先上がりでは、完全手打ちにしてもらうことにしました。
もともと、足首が柔らかい人でも、傾斜地は手打ちの度合いを多くします。
男子プロの試合での傾斜となると、ほぼ深いラフですし、
いずれにしても距離などのペナルティーは払わなければならないのです。
ですから、とにかく安全に次に打ちやすい所に出す、
という戦略で対応する場合は多くなります。
グリーンまでの距離に関係なく、ショートアイアンやSWで打つということなどですね。
そして、つま先上がりでは、脚のパワーを封印するということで、
足首への負担を減らし、足首の可動域が狭いことによる、
ダウンスイングでの起き上がりなどを防止します。
足首は、筋肉というよりも、靭帯や腱が硬くて可動域が悪い場合も多く、
特に男性の場合は靭帯や腱は、太い分強いのです。
そのため、足首に関しては特になんですが、
柔軟体操でその可動域を広げる事は、女性に比べて格段に大変なのです。
それで、総合的に考えて、つま先上がりでは、
距離を落としても、脚のパワーを封印するという作戦で対応しました。
みなさんも、ご自分の足首の可動域をチェックしてみてください。
可動域が狭いようでしたら、傾斜地でのショットの練習をしっかり行うようにしないと、
傾斜地で損をしているかもしれません。
では、また。