From:大森睦弘
神戸の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「技・フィニッシュでの左脚の見え方」
というお話をさせていただきます。
ボールヒットでは、ヘッドをボールに当てることに一生懸命で、
他のことが見えなくなっていませんか。
特に、下半身としての脚を、どうしていたか、
まったく思い出せないなんてことでは、もったいないですね。
そして、ボールヒット近辺での左脚の使い方も、
実は、いろいろなパターンがあります。
いろいろな見え方のパターン
ボールヒット近辺での左脚の使い方は、
最終的には、フィニッシュに現れてきます。
フィニッシュでの左脚の形のパターンとしては、
大きく分けて、次の3つがあります。
(ちなみに、わたしは、足という字は、
足首から先、脚という字は、腰から足の先全体を示す、
というように使い分けています)
(1) 左脚はまっすぐに伸びて、左足の上に静かに立っている
(2) 左膝が曲がっている
(3) 左脚全体が打ち出し後方に倒れて、左に乗れていない
(2)と(3)の複合パターンもあり、実は千差万別といえばそうなのですが、
この3つのパターンをひとつずつ理解できれば、その複合パターンも理解できます。
そして、あなたのフィニッシュでの左脚の形が、この中のどのパターンなのかをみれば、
ボールヒットで、左脚がどんな動きをしてきたか、その履歴を確認することができます。
わたしがお勧めしたいのは、この番号(1)の、
フィニッシュでは「左脚はまっすぐに伸びて、左足の上に静かに立っている」です。
左脚はまっすぐに伸びて、左足の上に静かに立っている
「左脚はまっすぐに伸びて、左足の上に静かに立っている」
というフィニッシュの形は、ジュニア選手や女子プロなど、
上半身の力があまりないプレーヤーに多くみられるパターンです。
ところが、成人男子では、この左脚がまっすぐ伸びたフィニッシュは、
それほど多くは見られなくなります。
それは、なぜか。
男子のトーナメントプレーヤーなどでは、上半身の力もかなりあるので、
下半身をそれほど使い切らなくても、必要なだけ飛ばすこともでき、
ボールもうまくコントロールする技を持っています。
通常の男子のトーナメントプレーヤーでは、両膝を地面について、
膝から下をまったく使えない状態でも、ドライバーで250yぐらいは飛ばせます。
両膝をついた状態では、股関節はある程度使えます。
とは言え、骨盤は思ったようには動かせず、
ほぼ腰から上の動きだけで飛ばすことになります。
ということは、腰から上の動きをうまく使えば、成人男子の上半身の力があれば、
トーナメントでも戦える、十分な飛距離が得られるということにもなります。
しかし、一般的には、下半身を自由に使えても、
ドライバーで180y~230yというところでしょうか。
これは、上半身の筋力の差というより、
体の使い方の違いとか、無駄のある・なしの違いです。
ここに、面白いデータがあります。
2012年に片山晋呉プロが我々のもとに戻ってきて、
スイングやパッティングを見直すことにしました。
その時、私が一番強烈に残っているシーンがあります。
晋呉さんの左脚の使い方がしっかり使い切っていませんでした。
そこで、左脚を縦に蹴って、フィニッシュでは左脚が
真っすぐに伸びているようにという話が出た時のことです。
「え、こんな動きはだめだと思っていた」
という声が、晋呉さんから出たのです。
それまで、特にアイアンでですが、
左脚はフィニッシュでしっかりリリースされきれていないで、
少し左膝が曲がっている。という状態でした。
そして、この左サイドの使い方などに、真剣に取り組んだ結果、
2008年11月の優勝から5年ぶりに、2013年10月、
東海クラッシックでの優勝を手に入れました。
さらにもう少し晋呉さんのデータを見ると、わかってくることがあります。
2014年JGTOツアー、つるやーオープンゴルフトーナメント最終日、
片山晋呉プロが、ドライビングディスタンス1位(324ヤード)を叩き出しました。
そして、2014年10月28日に片山晋呉プロの握力を測定した結果が残っています。
なんと、左手が27.4kg、右手が26.8kg。
男性の40~45歳での平均は、だいたい47kg, 65歳でも42kgぐらいです。
65歳女性で約26kgです。
2014年という年は、晋呉さんは、首とか肘の故障はあったとしても、
この測定結果に関して、かなり低い数字といえます。
この晋呉さんの、ドライバーの飛距離と、握力の関係を見ても、
無駄をなくし、脚を使うことで、十分な飛距離が出せるということです。
その脚の使い方のキーポイントが、左脚を縦に蹴って、
左のお尻を左後ろポケット方向へ押し込むようにして、
骨盤を斜め回転させて、脚のパワーを目いっぱい出すことです。
その結果、フィニッシュでは、左脚は真っすぐに伸びて、
左足の上に静かに立っていられます。
そして、下半身を使い切った結果、腕をねじるとか、
上半身で自ら力を出す必要がなくなり、あれだけ飛ばしておきながら、
前腕の力を示す握力が必要ないスイングが完成しています。
これなら、年齢を重ねても、故障にさえ打ち勝てば、十分に戦えます。
左膝が曲がっている
フィニッシュして、左膝が曲がった形の場合を見てみましょう。
これは、よく「腰は水平に回しましょう。」と言われ、
地面に対して骨盤を水平にターンさせた場合に
多く見られるフィニッシュの形です。
上半身の使い方がうまいとか、力がある場合は、骨盤は地面に対して水平に回っても、
上半身でうまく処理して、トーナメントプレーヤーにもなれます。
しかし、それでは、本来持っている能力を発揮しきることはできず、
その選手の限界までの成績を出すことはできません。惜しいばかりです。
とは言え、実はすごい成績を出している選手でも、
この地面に対して水平に骨盤をまわす動きは、国内ではみられます。
左脚全体が打ち出し後方に倒れて、左に乗れていない
フィニッシュで左足の上に静かに静止できず、左脚全体が打ち出しと反対方向に倒れ、
体重はむしろ、右足に残ったままの形では、脚のパワーの半分も発揮できていません。
この形だとわかったら、さっそく直すことに専念しなければなりません。
フィニッシュで体重が左に移っていないということは、
体がしっかり左にターンできなっかったことになります。
背骨の前側には、重い内臓がたくさんあり、
背骨を中心にして左を向けば、体重は左に移ります。
フィニッシュで体重が右にあるということは、
背骨を中心にターンできなかったというこも考えられます。
また、一旦、左に乗って、その反動で、
右に跳ね返ってしまったということもあるにはあります。
しかし、99%のケースは、体のターン不足です。
そして、体が十分にターンできなかった理由は、脚のパワー伝達不足です。
腰がしっかりターンするキーポイント
しっかり体を回すためには、両脚で地面をとらえて、
両脚で腰がターンする動きが必要です。
しかも、地面を真っすぐに踏めるほど、地面に対してしっかりパワーを加えることができ、
その反作用で、腰をしっかり回すことができます。
ボールヒットに向かって、骨盤が上半身の前傾角度どおりに、
斜めにターンして欲しいのです。
左腰は斜め上にあがり、右腰は斜め下にさがります。
左脚は地面に対して縦に蹴って、
左のおしりを左後ろポケット方向へ押し込むイメージです。
右脚は打ち出し方向へ右腰をがっつり押し込みます。
ほぼ自動化される右脚の動き
今回は、主に左脚のお話しですが、
右脚の動きについても、もう少し触れさせてください。
右脚についてはちょっと複雑です。
でも、意識すれば、意外と簡単にできるものです。
左脚の縦蹴りができれば、左側には大きな空間ができます。
そうすれば、打ち出し方向でもある左サイドに空いた空間に向かって、
右脚は勝手に蹴ってくれます。
実は、右脚は、そんなに、左方向へ蹴る意識はなくてもいいのです。
蓋の空いた歯磨きのチューブを押すと、中身が出て来ることと同じです。
左サイドに十分にスペースがあれば、右脚でしっかり地面を蹴ろうとするだけで、
右脚は自動的に、打ち出し方向である左へ蹴る動きとなります。
両脚で地面を蹴るのですが、左脚での蹴りを最初に少し意識します。
そうすると、左脚で地面を押して、左サイドが斜め上にあがりはじめます。
その時に、右脚はまだそれほど伸ばそうとしていないなら、
右脚の長さはほとんど変化していないため、右脚は左へ倒れ、
その倒れた分、右脚の高さはさがります。
結果、右脚の付け根である右腰は、下にさがっていきます。
右脚は左よりもちょっとだけ長めに地面をとらえて、
離さない感じがあればいいです。
右サイドが少しさがってきて、右脚が左へ蹴り始めると、
右脚は伸びて長くなります。
その右脚が長くなった分は、
ほとんど、右腰を打ち出し方向である左へ動かす原動力となります。
結局、左は斜め上、右は斜め左下に動いて、
腰全体としては、前傾角度なりの背骨を中心とした斜め回転となります。
左脚が斜め上、右脚が斜め左下、という方向が大切です。
この方向に蹴り出すことで、背骨を中心として、
骨盤が前傾角度に素直に連動して、鋭くターンします。
そうすれば、下半身を目いっぱい使い切り、上半身はそれに連動して、
下半身のエネルギーを受けるだけの力をだす感じで、最高のスイングができます。
動きを細かく見ると、なんだかタイミングが難しそうで、
動きも複雑そうにみえます。
でも、大丈夫です。
先ほど、少し触れたように、左脚をしっかり縦蹴りする意識を強く持てば、
後は、かなり自動的に両脚が骨盤の斜め回転のために動いてくれます。
1回のスイングを20秒ぐらいかけた、
ゆっくりシャドースイングとかをやりながら、
この動きをトレースしてみましょう。
聞くほどには難しくありません。
では、また。
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