From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、
こんにちは、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)の大森睦弘です。
ゴルフライブでの連載も、今回で3回目です。
今週もよろしくお願いいたします。
今日は、全ての年齢のゴルファーに共通する
「片山晋呉プロ究極の練習」
について話してみたいと思います。
今現在、片山晋呉プロは全英オープンに出場中で、予選通算8オーバー。
滑り込みでの週末への切符を手にしました。
ここでご紹介する片山晋呉プロの練習は、実際にどなたにもやっていただきたい練習ですし、
この中から何かヒントを得ていただけるのではないかと思っています。
(大森睦弘についてご存知でないかたはこちら)
http://g-live.info/?page_id=733#ohmori_prof
「こればっかりやってれば、強くなる」
片山晋呉プロが江連忠ゴルフアカデミー(ETGA)とコーチング契約していた2009年、
マスターズで4位の日本人最高タイを獲得しています。
そして5回の賞金王、日本ツアー永久シード権など、
押しも押されもしない、トップランクの選手です。
晋呉さんは今でも時々ETGAに顔を出してくれていて、
ETGA契約選手たちに自分自身の「秘伝」を伝えてくれています。
先日、全英オープン出場が決まったときにも、最終調整に来てくれました。
そして、いつものようにみんなの前で練習してくれたのです。
そんな中で、強烈な印象に残る一言がありました。それは、、、
「こればっかりやってれば、強くなる」
この一言です。
それでは、この「こればっかり」とは、一体何か? それは。。。
「ノーマルアプローチのライン出しの練習」
この練習はもともとは江連忠がコーチとして晋呉さんにやってもらっていたことなのですが、
晋呉さんはETGAを離れてからも、この練習をずっと続けていたのです。
細い板の上に、ボールがコツンコツンと…
現役ツアーで活躍している日本選手の中で、世界に最も近いと言える晋呉さんが、
驚きのこの「超地味な練習」が最も大切だと語ったその練習方法とは。。。?
キャリーで10~20ヤードのアプローチショットで、
方向性をしっかり出してターゲットに正確に落とします。
下半身をしっかり使って、上半身は自然に下半身に連動して動くだけ。
手は何も余計な事はしないでクラブを捻らない。
特に、ボールヒットに向かって左脚で縦にエネルギーを使って地面にパワーを伝え、
それが下半身から手先に向かって順番にエネルギーが伝わって行く。
ココがポイントなのですが、下半身が十分にエネルギーを放出してくれれば、
上半身は本当に必要な動きだけをやってくれます。
これはいわゆる、通常のショットでも同じですね。
そして、プロでもなかなかやろうとしていないのが現実です。
難しいからではなく、その重要さに気づいていないだけなのです。
言葉で言われて「大事なんだ」と思うだけではなく、
本気になって真剣に単純な練習と向き合うことをやれないだけなのです。
芝の上からでもいいのですが、今回の訪問では練習場マットを裏返して、
硬いゴムの面を上にして、そこにボールを置いてショットしていました。
そして、15ヤード先には8cmぐらいの板を置いて(実際には体操で使う平均台)
手前と奥に1mぐらいの幅でテープで目印を付けて、
その約1mぐらいの範囲にボールを落とすのです。
この板の上に、ボールがコツンコツンと落ちて行きます。
ショットとしては単純に見えますが、方向性と距離の精度が必要で、
簡単にはコツンコツンと8cmの横幅、前後幅1mの板の上には、ボールは落ちてくれません。
左手片手、右手片手でも行いますが、
ボールの上がる高さが両手の時とほどんど変わりません。
手が何も余計な操作をしないので、両手でも左手、右手片手でも
クラブヘッドはほとんど変わらない動きをします。
この他にも、バンカーからのアプローチショットもたくさん練習していました。
ベースはノーマルアプローチのライン出しですが、
今年(2013年)2月の寒い時に、宮崎で一緒に合宿した際、
バンカーからのアプローチを徹底的にやっていました。
バンカーの中にボールを置いて、それをクリーンに拾うアプローチショットです。
距離はやはり10~20ヤードがベースとなります。
トップ選手がこんな単純な練習の繰り返し、なぜ?
晋呉さんぐらいの選手が、こんな単純な練習をずっとやっているのです。
当然、ドライバーや通常のアイアンショットでのボールコントロールも練習はしますが、
必ず行っていて、結構たくさんやっていることが、このノーマルアプローチのライン出しです。
10~20ヤードをサンドウエッジなどの短いクラブで打つということは、
クラブが腰の高さぐらいでの動きになります。
実際には腰から少し高く上がるぐらいの振り幅が気持ち良さそうで、多くやっています。
この腰から下を「ビジネスゾーン」と言いますが、プロでお金を稼ぐためには、
この範囲でのクラブの動きが良ければ、賞金を稼ぐことができると言われている領域です。
要は、単にショートゲームの練習を行なっているのではなく。
すべてのショットにとって重要な部分をしっかり練習しているということなのです。
これぐらいの振り幅ですと、手で打つこともできますが、下半身をしっかり動かして、
上半身はでしゃばらないで、静かに下半身の動きに従って動かします。
この下半身の動きはドライバーまで同じなのです。
ですから、上半身のリラックスされて自然な動きと、
下半身のアグレッシブな動きの両方を同時に鍛錬しているのです。
ここまで来ると、もはや「練習」ではなく「鍛錬」なのです。
「練習」と言うと、出来ないことをやろうとすることのイメージが強いのですが、
「鍛錬」だと、すでにできていることを、さらに精度良くして再現性を高くしたり、
体に完全に定着させる感じですよね。
まさに、晋呉さんのこの練習は「鍛錬」という言葉がピッタリなのです。
そんなことを知った上で、晋呉さんが現在出場中の全英オープンを
ご覧になっていただけると、少しだけ見方も変わるかもしれませんね。
では、また。