ハービー・ペニックに訊け「ヘッドの向きとスイング」

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2013.09.08
omori

From:大森睦弘
六甲国際ゴルフ倶楽部より、、、

こんにちは、ETGA(江連忠ゴルフアカデミー)の大森睦弘です。

今週も先週に引き続き、
「ハービー・ペニックとの対話」をお届けしたいと思います。

 (私としてもチャレンジの企画です。あなたのご意見、お待ちしています!)

今回で2回目ということで、まだハービーさんのことを
よくご存知でない人もいらっしゃるかと思います。

ですので、先週に引き続き、簡単な自己紹介から。。。


ハービー・ペニック(1904-1995)は、1923年にプロゴルファーの職を得てから
亡くなるまで、トッププロからアマチュアゴルファーまでを教えた、世界的な名コーチです。

このハービーさんは、トッププロもアマチュアも分けへだてなく
「1時間5ドル」という、あってないような報酬でレッスンをし続けました。

晩年は耳が遠くて電話では直接話せないため、
奥さんを介して電話レッスンまで行ったそうです。

そして有名な話が、ハービーさんが60年以上にもわたって、
教えるときに感じたり気づいたことが書いてきたノートがありました。

そのノートは門外不出とされ、同じくゴルフコーチをしていた息子以外には
愛弟子たちにも決して見せなかったそうです。

しかし、ハービーさんが87歳のとき、その門外不出のノートを出版しようと思い立ち、
そして出版されたのが、リトル・レッド・ブック(Little Red Book)という本です。

今では全世界で100万部以上読まれている「伝説のレッスン書」となっています。

この伝説の名コーチが残した「Little Red Book」という貴重なメモをもとに、

 「もし今の時代にハービーさんがいらしたら、何とおっしゃるだろう?」

という私の想像をもとに、
私、大森との「対談形式」でお届けしようと考えています。

今回はゴルフにおいても本質的なことでもある、

 「クラブヘッドの向きとスイングのどちらが問題か?」

ということについて、ハービーさんが声をかけてくださいました。

クラブフェースの向きへの意識の重要性

(ハ)おーい、ちょっといいかな。

(大)わあ、ハービーさんから声をかけていただけるとは、
   思ってもいませんでした。

(ハ)いやいや。ところで、最近は「高速度撮影カメラ」というものが
   とても安く手に入るそうじゃが、おぬしも使ってるのかと思ってな。

(大)はい、カシオの「ハイスピードエクシリム」というカメラがあるんですが、
   これは値段のわりに結構使えて非常にありがたい道具となっています。

(ハ)ほう。

(大)目では見られない瞬間を捉えられるのは、とても感動的です。

(ハ)そうか。ところで、ボールヒットの時のクラブフェースの向きも
   良く見えるということらしいが、どうなんじゃ?

(大)そうですね、ある程度明るさが必要で、屋内ではなく外なら
   ボールヒット近辺でのクラブヘッドの向きがしっかり見えますね。

   私もレッスンをしている時に、生徒さんにもその場で見せてあげられるので、
   本人も納得していただきやすいです。

   口で言っても本心では納得していただけないと感じた時は、
   第三者的な道具で説得することが近道ですね。

(ハ)うむ。ボールヒットでクラブフェースがスクエアになっていないだけのために、
   思ったボールが出ないという場合があるんじゃ。

   スイングの他の部分を変えなくても、そこそこいいボールが打てるのに、
   ついついスイングのどこかを変えようとしていることがあるんじゃな。

(大)それって、意識を変えるぐらいのことで、
   良いボールが出るようになるってことですよね。

意識を変えるだけでいい場合もある

(ハ)そうじゃな。
   クラブフェースへの意識を変えるだけでいいとわしが説明しても、
   クラブフェースの向きを真剣に合わせようとしてくれないんじゃ。

   そして「たったそれだけのことを聞きに来たわけではない」
   というような顔をするんじゃな(笑)。

   そんな時は、そのカメラを使って見せてあげたら、すぐに納得して、
   真剣にクラブフェースの向きだけに意識を集中してくれるんじゃろうな。

(大)はい、おっしゃる通りです。

(ハ)確かにクラブヘッドの軌道とクラブフェースの向きでボールフライトが決まるから、
   間接的にボールヒットの時のクラブフェースの向きを説明することはできるんじゃがな。

   直接クラブヘッドがボールに当たる近辺で見えたら文句は言えないじゃろうな。

(大)本当に、クラブフェースの向きへの意識が少ないことは、
   わたしも実感することが多いです。

   本当はそもそもクラブのどこにボールが当たっているのか
   わかっていないという問題もありますけど。。。

(ハ)1時間のレッスンに来てもらって、わしが
   「クラブフェースの向きに集中してください」
   と生徒さんに言っただけで、いやな顔をされたことが何度もある。

(大)それは私も同じです(笑)。

(ハ)じゃがな、帰ってからちゃんとそのことだけをやってくれてた生徒さん達からは、
   たくさん手紙が来て「あの大会で勝てました」とか「プロになれました」なんてな。

(大)スイングはそこそこいいのに、ボールをうまくコントロールできない場合は、
   ボールインパクトの時の、クラブフェースへの意識が足りないだけということなんですよね。

(ハ)そうじゃよ。まずはクラブフェースの向きが問題なのか、
   スイングそのものの方が修正が必要なのかは、しっかり見極めなきゃならんぞ。

   そして、人間の能力は計り知れないものがあるんじゃ。
   単にクラブヘッドを開くとか閉じるではなく、ターゲット方向に向けようとすることで、
   そっちに向けられる能力があるんじゃ。

(大)なるほど。。。

スイングでクラブフェースを直すな!

(ハ)スイング全体としては大きな問題がないのに、ボールが曲がるという場合は、
   そんな意識の欠落ということも考えなければならないのじゃ。

(大)うーん。。。確かに、やろうとする意志があればできてしまうことって、ありますよね。
   たとえば、地面に置いた平均台の上を歩けても、それが渓谷の吊り橋だったら歩けない。

   当然、風の影響とかもあるにしても、まずは意志の問題なんですね。
   できるのにやっていないことって、やっぱり多いんですね。

(ハ)そうじゃ。ちょっと意識すれば合わせられるクラブフェースを、
   スイングで直そうとすることはないぞ。

   逆に、スイングでクラブフェースの向きを合わせるようにさせることは、
   やりすぎにもなりやすくて、なかなかうまくゆかないんじゃ。

(大)そうですよね。クラブフェースの向きにこだわりすぎて、
   手でこねたりすることもありますからね。

(ハ)そうなんじゃよ。みんなすぐに手でこねくり回したがる。
   クラブフェーズをただもっと開くとか閉じるというのではなく、
   スクエアにするという意識が大切なんじゃな。

(大)確かにほとんどの方は、スイングそのものをどういじったらいいのかと考えていますよね。
   単に意識を変えるだけで、急激によくなるのなら、
   ものすごくもったいないことをしているんですね。

(ハ)うむ。くどいかもしれないんじゃが、本当に大切なことじゃから、
   これだけは守ってほしいのじゃ。

   今、生徒さんにとって、わしらがしっかり見極める必要のあることは何か。
   それは、クラブフェースへの意識の持ち方なのか、スイングそのものなのかということじゃ。
   そのために、わしはじっくり時間をかけて生徒さんを観察するんじゃ。

(大)なるほど。。。

(ハ)「段取り八分、仕事二分」といことわざが、おぬしの国にはあるんじゃろう?
   じっくり見極めて、どんなことを直したらいいいかしっかり見定めてから、
   修正にはいる事が大切ということじゃな。

(大)ありがとうございます。

   そういえば、私の国に「親の意見と冷や酒は後で効く」という言葉があります(笑)。

   今日ハービーさんに教えていただいたクラブフェースの向きのことについては、
   生徒さんがその大切さをその場では大したことじゃないと無視されても、
   うまくなったときに「あ、あの時の一言が本当に大切だったんだ」
   と実感していただけれるように、これからも伝えていきたいと思っています。

(ハ)うむ。そうじゃな。

(大)今日も、どうもありがとうございました。

(ハ)では、またじゃ。

いかがだったでしょうか?

今回の企画は私の中でもちょっとした「チャレンジ」となっています。

ですのでぜひ、このメールを読んでのあなたの感想、
ご意見などを聞かせて下さい。

さあ、ハービーさんとの対話、果たして次週も続くのか。。。(笑)
どうぞお楽しみに。

では、また。

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大森 睦弘
大学卒業後、世界でも有数な大手電機メーカーに勤務。社内の中央研究所や外部機関の客員研究員(東京大学)など、研究開発に従事。その類まれな分析力と強靭なメンタルは、ビジネスでの成功だけにとどまらず、スポーツでも発揮。国民体育大会アルペンスキーで優勝など、その競技力と長年の指導実績から、神奈川県アルペンスキーコーチとしても活躍。 その後、会社を早期退職し、ゴルフのインストラクターを養成するコースを卒業。卒業と同時に、コーチとして、プロ、ジュニアや一般の方々へのコーチング、ツアーキャディーなど、幅広い層に対するコーチングを行った。特にメンタルテストで「トップアスリートとして通用するレベル」と診断され、その強いメンタルを作りあげた経験を元に、メンタル面のサポートも行う。 現在、フリーのコーチとして独立。一般の方の本当の気持ちになって、どんなことでもとことん説明するなど、今まで納得できなかったと言われたことにも、やさしく解説することを信条としている。さらに、分析能力の高さを生かしてコーチングの仕事に従事するかたわら「ゴルフでのからだの使い方」をやさしく紐解くことで、ゴルフを普及させる活動を行なっている。
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大森 睦弘

大森 睦弘 について

大学卒業後、世界でも有数な大手電機メーカーに勤務。社内の中央研究所や外部機関の客員研究員(東京大学)など、研究開発に従事。その類まれな分析力と強靭なメンタルは、ビジネスでの成功だけにとどまらず、スポーツでも発揮。国民体育大会アルペンスキーで優勝など、その競技力と長年の指導実績から、神奈川県アルペンスキーコーチとしても活躍。 その後、会社を早期退職し、ゴルフのインストラクターを養成するコースを卒業。卒業と同時に、コーチとして、プロ、ジュニアや一般の方々へのコーチング、ツアーキャディーなど、幅広い層に対するコーチングを行った。特にメンタルテストで「トップアスリートとして通用するレベル」と診断され、その強いメンタルを作りあげた経験を元に、メンタル面のサポートも行う。 現在、フリーのコーチとして独立。一般の方の本当の気持ちになって、どんなことでもとことん説明するなど、今まで納得できなかったと言われたことにも、やさしく解説することを信条としている。さらに、分析能力の高さを生かしてコーチングの仕事に従事するかたわら「ゴルフでのからだの使い方」をやさしく紐解くことで、ゴルフを普及させる活動を行なっている。

 

ハービー・ペニックに訊け「ヘッドの向きとスイング」」への12件のフィードバック

  1. あくの

    「クラブフェースの向き」その通りだと思います、長い間(40年近く)ゴルフをプレーしてきて、最近、自分で「どうも最近、会心のショットが出ない」ので、「ひょっとしたらフェースがあちゃらを向いているのでは?」と思い、打つ瞬間に「フェースを飛距離方向」の意識を持って、打ち出したところ、100%ではないですが、60%くらいは会心のショットが出るようになりました。もちろんスイングは変えていません。意識の持ちようだなーと、ハーピーさんのお話に納得でした。

    返信
  2. 保﨑秀夫

    フェースの面を意識することの大事さを認識しました。どうしてもフォローで引いてしまう事があり、左に出る。グリーン周りでは、より大事だと思います。ありがとうございまいた。

    返信
  3. 鈴木昭彦

    対談形式は意図するところが解りやすいです。いい企画だと思います。次回楽しみです。

    返信
  4. 呑兵衛マサちゃん

    小手先だけで細工をするなってことかな?また、グリップやアドレスが大事ってことも。余計なことをしないってことも大切なのかな?

    返信
  5. 加集愼二

    今回のテーマは、今私が打球の方向性の精度を高めるについて、スイングにこだわるよりもフェースの向きに注意してスイングすべきか、あるいは正しいスイングをすれば方向精度はおのずと実現できるのかについて 迷い悩んでいるポイントでしたので、大変強力な指針になります。
    これからは迷うことなくヘッド(フェイス)の向きを注視して練習を続けたいと思います。
    ありがとうございました。

    返信
  6. muroさん

    ハービー・ペニックさんの名を借りて、大森さんが伝えようとしていること、解りやすくておもしろいです。是非続けてください。大森さんの「脱・力み」も見ましたが、まだまだ難しいです。というのが感想です。やっと100をきった程度の実力ですが、昔のDVDでの先生方の言っていることが、やっとこういうことだったんだ。と、納得できるものが増えています。きっと、「脱・力み」も、そのうち理解できるのではと思います。インパクト時のフェースの向き、しっかりと意識したいと思います。

    返信
  7. 髙橋則行

    お世話になります。
     フェイスがボールに当たる瞬間にスクウェアになるよう努力しているのですがその一瞬に向けるのはかなり難しく悩んでいます。何か、練習方法はあるのでしょうか。

    返信
  8. 岩田尚夫

    大森様
    二年ほど前からゴルフを一からやり直す決心でレッスンを続けております、最近ようやく過去の我流スイングから抜け出せる様に成ったと感じているのですが、当たりと方向性が納得いきません、スイング自体は良くなっている筈なのに何故か我流の時の感性打法の時ような打感もなく悩んでいます。
    今日の先生の話を聞いハットしております、結果が伴わないのは真にこれでは無いかと思えてきました、アドバイスを参考にして練習したく思っており結果が楽しみです。
    有り難う御座いました。

    返信
  9. 瀬々 宣紘

    多分初めてコメントを送っていると思いますが、小原先生のメールは技術的なことだけでなく、うなずくことが多いのでいつも楽しく読ませていただいています。
    特に今回のクラブフェースの件は最近私が経験したことで、その結果も出ていると思うのでコメントさせていただきます。
    それは、私がいつもの練習場に行った時に、顔見知りで同じ団地で80台で回る方と初めて一緒になりました。私は最近はハーフで60台、結果120台前後が続いていました。その方が私のスイングを見て、「クラブフェースがスクエアでない。」と指摘されたんです。そして、言われた通りに打ったら、強く、真っ直ぐなボールが飛んで行ったのです、しかし、勿論毎回ではありません。私のボールは今まで球が高く上がり、距離が出ず、風にも弱いボールでした。そしてその後、先月20日のコンペで何年振りかにハーフで52が出て、しかし上りでは109でした。後、問題はアプローチです。週に1回練習場に行くようにしていますが、30&50ヤードをSWで1/3の50球位を練習しています。
    とりとめのない話で済みませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。

    返信
  10. happyear

    大森先生
    ベストが、102ですが、
    ビジネスゾーンでは、そこそこフェイスの向きを意識できているのですが、肩から肩、フルスイングになるといろいろな事を考え過ぎてしまう気がします。たまに右にボールが出るでたり、スライスする時は、フェイスの向きが、よくないと思うのですが、スイング全体でどうしようと考えてしまいますが、今日の話を聞いてフェイスの向きを意識して練習したいと思います。
    いい話を聞けたと思います。
    ありがとうございます。

    返信
  11. 上村

    いつも楽しく拝見させていただいています。とてもためになる話ばかりで嬉です。
    ハービーさんに聞きたいことがあります。
    インパクトがすべて、といいます。インパクト時のクラブフェースをスクエアに入れりためには、セットアップ時のクラブフェースとボールの位置関係と、ボールのどこを見てどこにクラブフェースを入れるつもりで打つと良いのか?と言う事だと思っています。
    自分は、フェースのラインとボールが直角になるように合わせています。インパクトは、7番アイアン位は、ボールをスタンスの中央でフェースの先をボールセンターに入れるつもりで打っていますが全体にフック系の弾道になります。できれば正しいインパクトへのスタンスとスクエアなインパクトへのヘッドの入れ方につて指導をお願いします。

    返信
  12. 橘 幹夫

    大変参考になりました。意識するならできそうです。これからも「ハービーさんとの対話」を続けてください。
    よろしくお願いいたします。

    返信

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