2016.04.14
From:徳嵩力一
千葉のクラブ工房より、、、
こんにちは。プロクラブフィッターの
徳嵩力一(とくたけ・かついち)です。
この月曜日は、松山プロがマスターズで7位に入って、
ゴルフ関係の話題も増えてきました。
だんだんと暖かくなってきましたし、
ゴルフ熱もどんどんあがってきているのを感じます。
そして、今週からいよいよ、国内男子ツアーもスタート。
この時期になると、ツアーをプロたちと
回っていた時期のことを思い出してしまいます。
さて、タイトルに「開幕は通信簿」と書きました。
実際、そうだったんですが、一体どういうことかというと…?
自分にとっての通信簿
プロとの大きな契約があるメーカーさんなら、
このオフの間にプロとのクラブの調整もあるんですが、
自分がいたのはいわゆるパーツメーカー。
ですので、そうしたいわゆる大手クラブメーカーさんとは違って、
オフの間は選手とコミュニケーションを取ることは
ほとんどありませんでした。
ですので、毎年ツアーの開幕になると
いろいろなプロに挨拶に行くのが習慣になっていました。
おそらくこの開幕までには、メーカーさんの新しいクラブが
各プロのゴルフバッグに入っているわけです。
十分にテストも済んで、万全の状態のはず。
そうなると気になるのは、
「今年もウチのクラブはバッグに入っているのかな。。。」
という点です。
前にもちょっとお話ししたかもしれませんが、
たいていのプロは「ドライバーを含めた10本の契約」
ということでやっていることが多いです。
そして、残りの4本になるわけですが、
たいていの場合パターだけは自分のお気に入りがあったりして、
それ以外に自由に選べるのが、残りの3本。
それで残りの3本をメーカーで取り合うわけですが、
その「3枠」に、残っているかどうか?
これがいわば、自分にとっての「通信簿」なわけです。
プロたちのバッグの中身を確認して、
うちのクラブをまだ使ってくれてることがわかると、
安心したものです。
「いやー、徳ちゃん。コイツだけはどうしても
他の(ゴルフクラブ)には変えられないんだよねえ~」
とりわけフェアウェイウッドには
そのようなありがたい言葉をよくいただきました。
そうした言葉が何シーズンも続いたことも、よくありました。
そのように愛着を持って使ってくださるのは、ありがたいことです。
日本と米国、ツアープロの試打の違い
ツアーといえば、こんな話もあります。
(前に同じようなことを話したか、忘れてしまいましたが)
日本のプロと、アメリカのプロでは、
試打をするときのやり方が、全く違うんです。
日本のプロたちは、
簡単に言うと「すごーく優しい」です。
どういうことか詳しく話すと、たとえば新商品が出来て、
それをツアー中のプロのところに持っていくとしましょう。
練習中に行って、ちょっと打ってもらうわけですが、
最初の一発目は何の先入観もなく、
「自分のいつものスイング」で打ちます。
その1発目でたとえば右に行ってしまったりすると、
2発目はゴルフクラブにアジャストして打って、
まっすぐに打ってくれます。
こちらから見ても、
「まっすぐに飛ばしてあげよう」
としてくれているのが、わかるんですね。
最初の1発目右に行ったら
「ああ、これはあんまり捕まらないクラブなんだな」
と思って、捕まえる打ち方をしてくれているように見えます。
一方のアメリカのプロなどに打ってもらう時は、
クラブを渡しても、自分のスイングだけでしか打ちません。
たとえば一球目で右に出たら、次の二球目も右に打ちます。
自分のスイングを変えません。
右に行くかな、とおそらく思っていても、
アジャストせずにそのまま、自分のスイングで打ちます。
そして、3球打って「No!」と返ってきます。。。(笑)
お国柄なんでしょうが、アメリカ人はお世辞抜きで
お互いにイーブンという考え方なんでしょうね。
「メーカーなんだから、自分に合わせたクラブ持ってこい」
とはいえそれは決してイヤな感じではなく、
それがお互いのためというポリシーのもとで、
そうしてくれているのでしょう。
日本の選手でも、自分のスイングがしっかりできる人、
たとえば片山晋呉さんとかは、どんなクラブでも
自分の打感を変えずに打ったりするかもしれません。
でも、日本のプロの場合は右に行ったら、
「あー、つかまんないんだな」
「じゃあ、まっすぐ飛ばしてあげよう」
そんなふうに思っているのかわからないんですが、
アジャストした打ち方をしてくれることが多いです。
いわゆる日本的な無意識に出る遠慮から、
おそらく、そうしてくれるのかもしれません。
だから、日本のプロは何球か気を使って打ってくれて、
プロからは「これいいね」「飛ぶね」という言葉はもらえるものの。。。
選手が試合で使うかどうかはまた別の話、となってしまいます。
新商品を持って行かないメーカー
先ほどの「通信簿」の話に戻ると。。。
そんな試打をお願いする中、自分はプロたちに同じモデルを
4シーズン連続で持って行ったりしていました。
正直、メーカーとしてはちょっと異色だったと思います。
プロたちにはよく
「徳ちゃん、そろそろ新しいの出ないの?」
と言われ続けていました。
でも、後継モデルが出るまでは
「そのままで、まだ出ないんですよ」と言いながら、
ずっと同じものを持って行っていました。
というのも、その商品は実際、
ツアープロたちのバッグに何年も入り続けていたからです。
そもそもパーツメーカーでしたので、
そうそう毎年ニューモデルを作らないんですね。
もちろん、それに近いモデルが
新商品として出ることもあります。
ですが、それはまた別のコンセプトで作られた
違うタイプのゴルフクラブです。
両方ともカタログに載っていますので、
れっきとした「現行モデル」です。
シャフトメーカーさんとかもそうですね。
新しいモデルは出ますが、もともとのモデルが残っているのは
それが違うものだということを意味しています。
カタログに載っている限りは、販売しているかぎりは
それが「最新」ということになります。
自分のポリシーとして、
・新しいモノだけを薦めるようなことはしない
・新しいモノがいいモノとは限らない
・いいモノは、基本いつまでもいい
というのがあって、それはツアープロに対しても
アマチュアのお客様に対しても、同じです。
もちろん、新しくないから申し訳ないなと思うこともあります。
ですが、合わないものを提供するほうが
よっぽどゴルファーのためになりません。
そこだけは、ブレたくないなと、
今週の男子開幕のことを思い出しながら、
改めて思ったのでした。
それでは、また次回。
徳嵩力一
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