2017.03.12
From:大森睦弘
岐阜の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「体・運動記憶の怪」
というお話をさせていただきます。
行なう練習を最高の効率にするために、
覚えておきたいことがあります。
それは、片腕で学習した動きは、
両腕での動きには70%程度しか役にたたないということです。
これは運動記憶という、脳の中の仕組みの
摩訶不思議?な現象によるものです。
ですから、例えば。。。
と、その話の前に。
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では、話を戻します。
願ったとおりにはならない
片腕ショットを練習すれば、
それだけ両腕のショットも良くなるというものではありません。
両腕でのショットを練習するなかで、
時々腕が余計な動きをしていないのかチェックするようにやってみる、
というやり方がいいです。
また、片腕ショットではないとしても、
部分の動きをやってみることは、感じをつかむだけにして、
後は体全体での動きで体の動かし方を覚えるようにします。
難しい状況と簡単な状況での練習
あなたも、日々ゴルフの練習を重ねていることと思います。
そして、時には難しい状況でのドリルなどを行なうことで、
より上達が早くなることもあります。
片腕でショットしたり、
バランスの悪い状況を設定してショットするとか。
また、逆に簡単な状況に設定して、やろうとする目的の動きの感じを、
すばやく身につけるということも効果的です。
たとえば、腰から下ぐらいの振り幅でのショットで、
すべてのショットの基礎を身に付けてしまおうとすることなど。
小さな振り幅なら、ヘッドスピードもゆっくりで、
ヘッドの動きもほとんど視界にはいっていて、大きなパワーも必要ない状況では、
やろうとすることはやりやすくなります。
今回は、その中でも、片腕ショットでのおもしろい現象について
見てみたいと思います。
先ほどお伝えしたように、片腕ショットでボールをうまく打とうとして
たくさん練習しても、苦労したわりに、
両腕での通常ショットに100%効果があるわけではありません。
え、そんな馬鹿な、一生懸命片腕ショットをやって、
肘まで痛くなるぐらいやったのに、あまり効果がないなんて。
と、嘆いていたりしませんか。
そうです、さきほどお伝えしたように、片腕ショットは、
練習のためにやるというよりも、
腕に余計な力が入っていないことを確認するための検査です。
ですから、ずっと片腕を練習するというよりも、
両腕でショットしている中で、時々片腕でショットしてみるというやり方が、
片腕ショットの効果を高めてくれます。
いろいろなドリルがあるのですが、それぞれのドリルの目的を
はっきりと認識しておこなうことで、一生懸命やったことに対して
やった分だけの効果を出すことができます。
では、また。
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でも、ここまでお話しした内容をやるだけでも、
上達に役立つはずです。
とはいえまあ、先が聞きたいというリクエストも
あるみたいなので、もう少し詳しい話を続けてみようと思います。
では、お時間がある方は、続きをどうぞ。
分習法と全習法
練習方法には分習法と全習法があります。
分習法とは、目的とする動きをそれぞれに部分的動きに分割して、
部分ごとの動きだけを練習するという方法です。
全習法は、目的とする動き全体を行なう練習方法です。
分習法と全習法では一長一短があります。
そして、分習法として、部分ごとの動きを積みあげようとすることは、
わかりやすいといえばわかりやすいです。
分習法では、あまりいろいろなことを考えなくても、
かなりシンプルな動きだけを意識してやってみるということになりますから。
とはいえ、片腕ショットは、腕の使い方を覚えるために行なう
分習法として行っては、労力の割に結果はついてきません。
上半身はしなって戻る
ゴルフでは、上半身はほぼしなって、しなり戻るだけの動きです。
そして上半身が自ら行なうことといえば、
バックスイングでは手首が親指側に折れるコックを入れること。
そして、手元が胸から上ぐらいからはコックにプラスして、
右肘を少し曲げることで、ヘッドを良い軌道に乗せるための
補助的な動きをおこなうことです。
少なくとも腰の高さ辺りに手元がくるハーフウエイバックまでは、
コックを作ること以外に、腕は自らは何も行わないで、
下半身の動きに従うだけです。
このバックスイングの出だしでうまく体を使えることで、
スイング全体が良い動きになります。
この、ハーフウエイバックまで、
上半身は自らはコック以外は何もしないことがものすごく重要です。
なぜなら、しならせるためには、しならせたい部分に対して
自ら力を入れないほどしなりやすく、自然にしなりますから。
確かに、ゴルフのショットで、両腕でショットするだけではなく、
片腕でのショットも良い練習になります。
しかし、その目的は、腕が余計な動きをしないことを確認するために、
片腕でもショットしてみるということになります。
ようするに、両腕での動作で無理な動きを行っているかどうかのチェックを、
片腕にすることでよりわかりやすくなるようにして行っているということです。
おもしろい実験
実は2006年のNatureに掲載された
野崎大地氏のおもしろい実験があります。
それは、両腕で操作した運動を覚えた脳の記憶は、
片腕の操作にはその7割程度しか使えないということを示すものです。
また、その逆もありです。
片腕で覚えた動きは、両腕での動きには7割ほどしか影響を与えません。
その実験とは、ロボットアームで、腕の動きに抵抗を加える実験です。
たとえば、ロボットアームを使って、
左腕片腕にだけに横方向の力を与えるようにします。
そうしておいて、腕を手前から体の正面方向の目標に向かって動かす実験です。
まずは、両腕を動かして目標方向へ伸ばそうとします。
何回かやっていると左腕には横方向の力がかかっていても、
まっすぐに目標方向へ両腕を伸ばすことができるようになります。
これは、横方向から力が加えられた状況での、
左腕に思った動きをさせる運動を運動記憶として脳が記憶したことになります。
次に、左腕への横方向の力を取り除きます。
そして、左腕と右腕を同時に目標方向へ伸ばそうとします。
最初は、左腕は横方向へ押される力がゼロになったことで、
目標に向かってまっすぐに動かせません。
そりゃそうですね。
左腕は横方向に押された状態での運動の方法を覚えたからです。
しかし、何回かやっていると目標方向へまっすぐに動かせるようになります。
ということは、左腕は横方向からの力があっても、
まっすぐに動かせるスキルを脳の中から消去したことになります。
ここからがこの実験の核心にせまります。
次に、右腕は動かさないで、
左腕だけを目標方向へ伸ばすことをやってみます。
ようするに、それまで両腕で行ってきた運動を、
片腕の部分だけ抜き出してやってみるということになります。
右腕を動かさなくても同じように左腕片腕だけでも
うまく動かせると思いませんか。
ところが、両腕では左腕はまっすぐに目標方向へ伸ばせたのに、
左腕片腕だけを動かそうとしたら、
横方向への力を取り除かれたすぐ後のようになりました。
左腕は、横方向からの力が入れられていないのに、
目標方向へまっすぐに伸ばせないのです。
このことから、左腕が片腕だけで運動したときの運動記憶と、
両腕同時に行った場合での運動記憶は、
まったく同じ場所に記憶されていたわけではないと考えることができます。
そして、両腕と片腕での運動記憶領域は
7割ぐらいは重なりがあるようだとわかっています。
こんなことがわかったのが、
2000年以降のつい最近だということも驚きです。
ゴルフにあてはめると
お伝えした実験は、左腕片腕と両腕という、
比較的単純な場合での例です。
腕の実験結果から連想すると、
ゴルフの練習でもいろいろ考えることができます。
実際のゴルフのスイングなどで、部分練習がそのまま全身の運動に
そのすべてがうまく使えるというわけではないかもしれません。
では、たとえば、下半身だけの動きを下半身だけ動かして覚えたとします。
そこで、下半身と上半身を組み合わせて動かそうとしたら、
せっかく下半身だけで動いて覚えたと思った動きの運動記憶は、
すべてうまく使るわけではないということにもなるかもしれません。
しかし、私の経験では、下半身と上半身は左右の腕のように
脳の中の記憶領域がわかれているわけではないという実感を持っています。
どうやら、左右、ということに関して片方だけの場合と両方同時の場合で、
記憶領域が完全には一致していないという感じです。
筋トレでは
トレーニングで単発で筋肉を鍛えても、
体全体の動きになると意外とパフォーマンスが出せません。
筋力としても、実際の動きで筋肉を付けなければ、
その動きでの筋力はなかなか発揮できないものです。
ゴルフで飛距離を伸ばしたいと思って、
重いウエートを持ちあげるトレーニングをおこなったとしても、
意外と効果が現れてきません。
まったくトレーニングを行っていない状態からなら、
少しでもトレーニングを行なうと最初は急激に発達して、
実際に飛距離にも影響が出ます。
しかし、3ヶ月以上ウエートトレーニングした後では、
ウエートトレーニングを行った割には成果としてあまり見えなくなります。
ですから、ある程度ウエイトトレーニングしてきたなら、
ウエートトレーニングではなく、実際の動きのなかで、
筋肉を鍛えることが大切となります。
これは、今回お話した運動記憶とは関係ないのですが、
神経系の反射の影響になります。
このことについては、前置きが長くなってしまいますので、
また別の機会にお話させていただきます。
実際のドリルでの取り組み方の例
分習法としての腕を組んで下半身の動きだけ行なうドリルは、
上下ですから下半身だけの動きでやった結果は
定着しやすいということが私の実感です。
例えば、まっすぐに立って上半身の動きだけ行なう、
コックと右肘を曲げていくことでの動きの確認は、
実際のショットでもその運動記憶は十分に活用できると感じています。
しかし、左腕片手だけとか、右腕片手だけのドリルとしての片手打ちなどは、
それで動きを覚えるというのではなく、余計な力を使っていないかどうかを、
できるだけごまかせない状況にしてチェックするドリルとして使うと良いということになります。
ちなみに、私のレッスンでは雑談でこんな話もしていますので、
もっと詳しく聞きたければ、下記のレッスンへどうぞ。
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これで、今日は本当のおしまいです。
では、また。
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