2016.02.28
From:大森睦弘
神戸の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「技・実質ウィークなグリップが多い驚き」
というお話をさせていただきます。
コーチングを行っていて、実に実質的にはウィークな
状態のグリップが多いことに、ある種の驚きを感じています。
そこで、ウィーク過ぎるグリップとはどんなグリップで、
どうしたら正しくなるのかをお伝えします。
コーチの本音
実はコーチの本音としては、長くお付き合いできる場合以外では、
本当はグリップはいじりたくありません。
なぜなら、まあまあ良いボールを打てているのに、
グリップを修正すると、とたんにうまく打てなくなる場合が多いからです。
しかも、グリップを修正するほど気になるということは、
かなりクセのあるグリップだということにもなります。
しかし、たとえ許容範囲に収まっているとしても、
グリップだけでもできるだけ精密にセットすることで、
スイング全体に大きな影響を及ぼします。
ウィークなグリップとは
グリップがウィーク過ぎるということは、無駄な力を使わなかったら、
軌道に対してクラブのフェースが開いているということです。
軌道に対してフェースが開いてボールに当たれば、
軌道に対して右に出てさらに右に曲がるスライス回転となります。
ですから、ウィークなままのグリップでボールを真っ直ぐに飛ばそうとしたら、
本来必要のない力を使って、フェースを閉じてなければならなくなります。
これって、ボールヒットに向かって毎秒40mにもなるヘッドスピードの中で、
フェースの向きをコントロールするという、
とても人間業とは思えない作業が必要だということになります。
ヘッドが遠心力で引っ張られたら、クラブが飛んで行かないだけの力を使うだけで、
ヘッドが軌道の方向を向くようなグリップが理想です。
動的にグリップがウィークということは、ヘッドが引っ張られた時に、
軌道に対してフェースが開くことになります。
ヘッドの方向とは、ロフトを考えないでヘッドの一番下の溝
のラインとかヘッドの下の端であるリーディングエッジと
シャフトに対して直角な方向のことです。
正しいグリップ
(1)左手親指はグリップの真ん中のラインより親
指の幅半個分程度右にずらせて置く
この左手親指をグリップに置く位置は、グリップを作る場合の基準となり、
左手親指の置いたところに対して、手の他の部分を合わせて行きます。
ですから、左手親指はできる限り精密にセットすることが、
良いグリップはもちろん、作りたいグリップを安定して作るための要となります。
また、ボールを曲げたい場合も、大きく曲げる場合は、
この左手親指のグリップに置く位置を微調整することで、
曲げ幅を決めることもできます。
そして実は、下を向いて左手親指の位置を精度よく決めようとしても、
なかなかうまくできません。
微妙なアプローチショットではちょっと変則的に右手から決めることもありますが、
原則は、左手からきちっと決めます。
左手親指は、真っ直ぐ立った状態で、きっちり決めて、
いったん決めたらフィニッシュまで変えないように、セットアップして、
ショットすることが再現性の高いショットをするために大切です。
(2)左手のVの字は密着
左手のVの字というのは、左手の親指と人差し指でできる上から見ると
Vの字に見える部分のことを言います。
そして、ほぼ親指の内側のラインになりますが、この左手のV字の方向が、
首の右側の付け根と右肩の間を指していれば、許容範囲です。
左手のグリップが許容範囲を逸脱したウィークということは、
このVの字が首の右側の付け根よりも左側を向いていることを言います。
そこで、このVの字の向きは、まあまあみなさん
正しい方向を向いていることもあります。
しかし、左手Vの字の間である、左手親指と人差し指の間に隙間があり、
密着していない場合がほぼ100%です。
この左手のVの字に締まりがないと、実質ウィークグリップなだけではなく、
トップでグリップがずれて、握り直すというはめになります。
しかも、ウィークになる方向へずれやすいため、静的には正常な範囲でも、
動的にはウィークということになります。
ようするに、セットアップでは許容範囲に収まっているように見えても、
スイングしている最中にウィークになるということです。
ですから、左手Vの字は絶対密着です。
この左手Vの字は、力で締めるものではありません。
左手親指をまずは、きっちり右方向へずらせて置いて、
その正しく置かれた左手親指に対して、左手の甲を寄せるように右にまわしてきて、
Vの字の隙間がないように密着させます。
これなら、ウィークとはおさらばです。
ちなみに、左手のVの字の間は密着ですが、右手のVの字はゆったりさせて、
右手の親指と人差指の間には必ず隙間を空けるようにします。
右手のVの字の間が密着していると、
スイング中に、絶対右腕でクラブを左にひねる力を自ら出して
クラブを不必要にねじってしまいます。
左腕は命綱、右腕はパワーです。
ですから、左腕はシャフトの延長に限りなく近い感じにしますが、
右腕はパワーを出すまでは、しっかりしなってエネルギーを溜められるように
ゆったりさせておきます。
ビンタをするとき、最初から右腕を突っ張っている人はいませんね。
強く引っ叩きたいときほど、右腕はリラックスさせて、
右肩、右手首はしなやかに保ち、体の動きで右腕をしならせて使います。
ボールヒットに向かっては、右腕全体がリリースされて、
最後に手首から先がリリースされることに体全体のすべてのエネルギーが集まって、
強烈に引っ叩くことができます。
グリップが体の向きへ与える影響
グリップは許容範囲であったとしても、
ウィークなほど体は左を向きやすくなります。
ストロングなほど右を向きやすくなります。
フェースをターゲット方向へ向けて肩の向きなどが左を向けば、
軌道はフェースに対して左に向くことになり、スライスとなります。
フェースをターゲット方向へ向けて肩の向きなどが右を向けば、
軌道はフェースに対して右に向くことになり、フックとなります。
セットアップでフェースをターゲット方向へ向けて、
気持よく振れそうな足場や腰、肩の向きをセットしたなら、
特に肩の向きはグリップの影響を強く受けます。
グリップがウィーク傾向ほど、フェースをターゲット方向へ向けて、
クラブをやっとで支えられる力だけを出していて、
前腕を左へねじるなどの無駄な力を出そうとしなければ、
肩の向きはターゲットよりも、左方向を向きやすくなります。
グリップがストロング傾向ほど、フェースをターゲット方向へ向けて、
クラブをやっとで支えられる力だけを出していて、
前腕を右へねじるなどの無駄な力を出そうとしなければ、
肩の向きはターゲットよりも、右方向を向きやすくなります。
実は、グリップがぴったり合っていないと、フェースの向きに対して、
肩の向きが狂いやすいということです。
その、狂った肩の向きだけを単に修正していては、
逆に前腕に余計なねじれの力がはいることになります。
そうなったら、スイング中、常に前腕のねじれをコントロールし続けなければ、
狙ったボールを打ち出すことはできません。
すべては、グリップに始まるのです。
あなたにピッタリのグリップの確認方法
あなたにとって、ピッタリ合ったグリップの確認方法をお伝えしておきます。
通常にセットアップしてバックスイング開始直前のところで止めて、
そこから上半身は動かさないまま、股関節を伸ばして、真っ直ぐに立ってみてください。
正しくセットアップできていれば、
リーディングエッジは水平な軌道に対して直角になっています。
体が垂直に立っているのですから、
リーディングエッジも水平な軌道に対して直角になっていることで、
ヘッドの向きは、体が回転する軌道の向きに向いています。
リーディングエッジが水平な軌道に対して直角になっていなかったり、
そうするために前腕を捻るなどの力を使っているとしたら、
グリップが悪いことになります。
ウィーク過ぎたり、ストロングになっています。
さらに誰かにヘッドを持ってシャフトの方向に沿って
真っ直ぐ引っ張ってもらってください。
ヘッドが引っ張られることで、ボールヒットに向かって
遠心力で引っ張られている状態を作ることができます。
この引っ張られることで、ヘッドの向きが変わらなければ、
力で左右にねじっていなかった証拠です。
ヘッドが軌道に対して直角になっていない場合は、前腕をねじらなくても、
リーディングエッジが水平な軌道に対して直角になっていられるように、
グリップを調整する必要があります。
実際に私が出くわした例 その1
コーチングしていて、選手以外で実は今までにたった一度だけ
完璧なグリップの方に出くわしたことがあります。
「すばらしいグリップですが、どうやってそのグリップを作られましたか。」
とお聞きしたら、次のような答えが返ってきました。
「日大のゴルフ部の友達に、
グリップは大切だといわれ、教えてもらいました。」
な~るほど、だから完璧だったのだと、納得した次第です。
実際に私が出くわした例 その2
また、こんなケースもありました。
まだ100を切れていない方でした。
ボールーはまあまあ真っ直ぐ飛び、軌道もほぼ完璧、
リリースも早すぎず、ボールヒットに向かって下半身から動けています。
しかも、スイング全体のリズムも良いのです。
ところが、コースに出ると、ショットが安定せず、
なかなかあと一歩のところで100を切れないとのことでした。
グリップを見ると、よ~く見なくても、明らかにひどいグリップでした。
左手がかなり極端な許容範囲を逸脱したウィークで、
しかもゆるんでいたのです。
右手グリップは逆にストロングの許容範囲ぎりぎりでした。
左手は許容範囲を遥かに超えたウィークで、右手がその逆を向いて、
左右の手がバラバラな動き方になっていたのです。
もう少しで100を切れそうなので、本当はスイングは変えないで、
ショートゲームだけよくすれば、まずは100を切れる状態です。
たまたまパターが入る日に出くわしたら、100を切れるという段階でした。
わたしも、本来はまずは100を切っていただいて、自信を付けたところで、
一気にスイングの問題を修正するやり方がいいと考えていました。
ところが、グリップがあまりにも悪かったので、修正することにしたのです。
というのは、ほかがかなり良いので、
100切りというより、グリップを良くするだけで、
あっという間に80台に突入できる予感を感じたからです。
この方は、100とかで悩んでいるレベルではないと、
はっきり実感しました。
とはいえ、これだけウィークな状態を正常にしたらどうなるかは
目に見えていました。
今までどおり打ったら、左への引っ掛けになります。
左へ出て、さらに左へ曲がるボールです。
そして、それは現実となりました。
グリップを修正してサンドウエッジで15ヤードキャリーさせるショットで、
ある程度グリップに慣れていただきました。
とはいえ、かなり強烈なウィークだったので、
すでに小脳プログラムされた動きまでは修正できません。
はやり、ドライバーを打っていただいたら、左引っ掛け連発です。
ここで、とりあえず、真っ直ぐな方向へ修正する作戦はたくさんあります。
しかし、わたしはあえて、そのことは一言もお伝えしませんでした。
この方なら、このコーチングの後、ご自分で考えて、
うまく修正していただけると感じたからです。
一応、左へ行ってしまう原因だけお伝えしました。
左手グリップがウィーク過ぎていた状態を正常な方向へ修正したことで、
本来は前腕はねじらなくてもいいところが、今までのウィーク過ぎるグリップのために、
前腕をかなり左へねじる力を使っています。
その力は、自らはねじっていないと感じるまでに、
小脳にプログラムされて自動化されているということを伝えました。
ここからはわざと伝えていないことですが、ボールヒットに向かっては、
むしろ前腕を右にねじってボールヒットさせるぐらいの感覚で振る必要があるのです。
感覚ではフェースを無理やり開くように感じたとしても、
ちょうど前腕を力でねじらないのと同じ状態にできれば、
ボールはほぼ真っ直ぐに飛び出します。
ツアープロでも左手Vの字の隙間に問題があることがある
実は、ツアープロの中でも、ある程度成績が出ているのに、
安定して勝てない場合に、グリップに問題が見つかることがあります。
それは、左手のVの字に隙間があるという問題です。
たくさんボールを打って、毎日のように練習していると、ある意味どんなグリップでも、
そこそこボールをコントロールできるようになってしまいます。
ところが、グリップが悪いと、微妙な力加減が、
日によって変化したりすることで、成績が安定しません。
グリップを精密にセットする極意
冒頭でもお話しましたが、グリップはかなり精密に作りたいものです。
グリップの上で左手親指の位置が1mmもずれたら、ボールは曲がります。
それぐらい、グリップというのは微妙です。
ところが、ヘッドをボールの後ろにセットしてからグリップを作っていると、
この微妙な合わせこみができなくなります。
ですから、グリップは、まずは体を起こして、真っ直ぐに立った状態で、
左手の親指の位置を、できるだけ精密にセットすることがものすごく重要になります。
できれば、右手のグリップも、真っ直ぐ立った状態でセットできると
さらに安定したグリップを維持することができます。
ちょうど「ゴルフィング大百科」という
私のDVD定期配布のプロジェクトの中のご質問に対してお答えする中で、
グリップに関する返答をさせていただいて、
今回のお話に関連することをお伝えしましたので、そのままご紹介しておきます。
微妙なアプローチショット以外の通常ショットでは、
スイング軌道に対してヘッドをきっちり決めたいので、
体に対してクラブを精密にセットします。
体に対して精密に手をクラブにセットするためには、
下を向いていてはどうしても精度が悪くなります。
下を向いていると、呼吸も清々とできず、グリップを作っているときには、
グリップ以外動かせないので、体としては止まっているからです。
真っ直ぐに立った状態でグリップを作れば、呼吸はゆったり楽にでき、
ヘッドの重さも感じ易く、ヘッドの重さでグリップを左手親指に貼り付けやすいので、
力で持たないで、重さを支えているだけでグリップできます。
周囲の方から見ても、真っ直ぐに立ってグリップを作っている動作は、
体は止まっているようでもあたかも動きがあるように見え、
ターゲットをねらって見ているようにも見せることもでき、
スロープレーにも見えにくくなります。
ところが、下を向いてグリップを作っていると、
誰が見ても体は止まっているようにしか見えず、
いつグリップを決めて動き始めるのだろうとか、周囲の人達は思ってしまい、
時間は長くかけていなくてもスロープレーに感じることになります。
しかし、グリーン近くのアプローチショットで、
ヘッドの入り方を微妙に調整したい場合は、右手でクラブを持って、
ヘッドをイメージした形にセットしてから、右手のグリップを決めて、
そこに左手を収めて下を向いてグリップは完成させます。
これは、まずはボールの置かれた状態に対してヘッドをセットすることが優先で、
ライの状態で、微妙にグリップを変えたいからです。
たかがグリップ、されどグリップですね。
グリップをおろそかにしていては、そのしっぺ返しでスイングで
大きな問題をたくさん抱えてしまうことになります。
春になってラウンドするまでに最高のグリップを目指して、
ぜひこの機会に、あなたもグリップを見直してみませんか。
では、また。
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