From:大森睦弘
神戸の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「心・コーチが陥る罠、新ネタをすぐ伝えようとする」
というお話をさせていただきます。
コーチといっしょに、楽しく練習できると、上達も早くなります。
ところが、コーチも人間、わかっていても陥りやすい行動があります。
どんな行動なのか見てみましょう。
コーチが陥りやすい罠、
そのトップ5は、以下の項目になります。
コーチが陥りやすい罠
そのトップ5とは。。。
(1) 新しいネタをすぐに伝えようとする
(2) ~してはダメと、言ってしまう
(3) 断定的な言い方ができない
(4) 多くのことを伝えすぎてしまう
(5) 自分が偉くなった気がしてしまう
今回は(1)の
「新しいネタをすぐに伝えようとする」
について暴露します(笑)。
新しいネタをすぐに伝えようとする
私も、以前この問題を感じたことがあります。
それは、いまから20年以上も前のことです。
スキーでコーチングしている時代の話になりますが、今でも、反省しています。
私は、社会人の時に、スキーシーズンの頭で、
学連一部の大学生と一緒に合宿して、最新情報を得ていました。
プロレーサーや、全日本デモンストレーターなどを
排出しているそのクラブで、良い刺激を受けたものです。
そして、そこで得たことを、会社の合宿でついつい話してしまっている、
というか、自分もまだ完成できていないことを、
なんとか伝えようとしている自分を発見したものです。
そして、ゴルフでも。
江連さんが、ふと私にこんなことを言ったことがあります。
「コーチって、さっき知ったことを、今教えたくなるんだよな。
それが悪いこととはわかってはいても、
なかなか止められないんだなこれが。」
そうなのです、トーナメントプレーヤーを育てる、
日本を代表する名コーチである、江連さんですら、
得たばかりの知識などを、ついつい教えたくなって、
選手に対して伝えようとしている自分に、ハット気づくのです。
わたしも、プロの選手にコーチングしていても、
ついこの罠にはまっている自分を発見してしまいます。
一般の方へのコーチングなどでは、それどころではないということも多く、
なんとか抑えられているつもりですが、プロ選手となると、ついついやってしまうのです。
わたしが直前のことに影響されてしまった例
例えば、片山晋呉プロのサンド・ウエッジで10y~30yキャリーさせる、
ショット基礎アプローチ練習の時の出来事です。
晋呉さんのフェースの向きをチェックしながら、
晋呉さん本人にも確認していただくために、
ヘッドの動きをハイスピードカメラで撮影していました。
結果は、半日ずっとやっていても、やろうとしているとおりで、
確認する必要もないぐらいでした。
セットアップでのフェースの向きはターゲットにきっちり向いていいます。
そして、ボールヒットでも、フェースの向きはセットアップのところに戻ってきて、
やはり、バッチリターゲットを向いています。
こんなことを散々チェックしていると、そのことばかりが気になり始めます。
そして、晋呉さんのクラブヘッドが、ボールの後ろにセットされる形など、
すべてイメージとして、わたしの頭の中に焼き付けられます。
ところが、ノーマルではなく、ボールに薄めぎりぎりに入れようとすると、
ハンドファーストの度合いが減り、
かつ、少しハンドアップにして、ボールにちょっとだけ近づきます。
ちょっと薄めといっても、フェースの溝1本以下の違いです。
通用はフェースの溝の下から2本目あたりにヒットさせるので、
ちょい薄めだと、下から1.5本目にヒットさせるという感じです。
こんなほんのちょっとしたヒッティングポイントの調整をする、
晋呉さんのほんの僅かな変化も、わかってきます。
カメラ映像でも、ほとんどわからないぐらいですが、
ずっと肉眼で見ているノーマルの姿が私の中に焼き付いているので、
ちょっと変えただけでも違いを感じます。
こんなことを、半日以上も続けるような作業を、
何回もやっていると、自然にそうなるのでしょう。
そして、3日も4日も続けていると、
その後に他のプロのセットアップをぱっと見ただけで、
違いがわかってしまいます。
まずは、どこがどう違うというより、何かおかしいなとか感じます。
そして、その違和感に対して、理由付けをしていくと、その違いの原因が見えてきます。
わたしの陥った罠
さて、ここからが、私が陥った罠です。
ずっと、晋呉さんのヘッドの向きをチェックしていた直後のことです。
晋呉さんの動きを散々チェックしていて、特にヘッドの動きを追い続けた直後は、
他の選手のヘッドの向きが気になってしょうがないのです。
シーズン途中でアカデミーに入ってきたばかりのプロ選手の
アプローチショットを見ていた時のことです。
普通の男子プロは、実践のアプローチショットでは、
ノーマルのアプローチショットではフェースを2~3度開きます。
ところが、その当たり前のことが、気になってしようがなくなるのです。
本来、実践ではそうすべきなのだから、それでいいのに、気になってしまいます。
はいってきたばかりで、これから試合がある選手に対して
「フェースを開かない状態をノーマルにしておいて欲しい。」と言ってしまいました。
そして、実際にフェースを開かない練習をしてもらったことがありました。
本当は、ふだんからノーマルが2度ぐらい開いていて、試合間近の選手にとっては、
それよりもっと優先的に直さなければならないところがあるにもかかわらずです。
ついさっきまでやっていたことが影響して、再優先で修正すべき点ではない、
直前にやっていたことを伝えてしまっていました。
確かに、2度開きなどで、フェースが右を向いていると、
わずかにスライス回転がかかります。
それでは、ホール・インを狙うショットにはなりません。
少しハンド・ダウンにして、フェースを左方向へ修正して、フェース面としては、
ターゲットにまっすぐ向く様にすれば、スライス回転は防ぐことができます。
アプローチの練習をするだけなら、2度開きで少しハンド・ダウンを
ノーマルとしてつくりあげても、問題ありません。
しかし、ショットまで精度良くしょうとしたら、フェースを開かないで
ハンド・ダウンでの調整もしない、素直なスイングを身に染み込ませたいのです。
でも、それは、シーズンオフで試合がしばらくない時期に徹底してやっておいて、
ある程度固まってきたら、シーズン中も継続的にやるべきことです。
プロ選手の場合は、それまでに築きあげてきた癖は、試合前は、
よほどのことがあっても、できるかぎり活かすことを考えます。
一般的にはフェースの一番下の溝をターゲットに直角にして、
そのクラブの一番自然な使い方でショット練習することで、
いろいろな点が自然に良い方向へ傾いてきます。
しかし、アカデミーにはいってきたばかりで、しかも試合を直前に控えた選手では、
それは、再優先とはならない場合があるのです。
優先順位は軽視できない
この時私が陥った問題は、修正すべき優先順位に乱れが発生して、
コーチングを受ける本人にとって、最適にならないコーチングをしてしまったという問題です。
しかし、どこを一番優先して修正するかということは、かなり重要なことです。
どんなことでも、今、知った重要なことは、どんな人にも当てはまることは多く、
いつかは伝える日が来るべきものです。
ところが、それが、今なのか、もう少し他のご本人にとって重要なことを、
良くしていった後なのかは、コーチングを受ける方にとって、ものすごく大切です。
それで、この今、知ったことを伝えたくなるということは、
多くのことを伝えすぎてしまうという罠にもつながってしまいす。
コーチとインストラクター
コーチって自分をいかに殺せるかが大切だと考えています。
殺すというと誤解を招きそうなので、もう少し説明させていただくと、
あまりしゃべりすぎないで、出来る限り見守るということです。
そんなつもりでも、いつもあれだけしゃべっているのだから、
言っていることとやていることが違うとおっしゃっている声が聞こえてきて、耳が痛いですが。
ある意味、わたしは、自分への戒めのつもりで、書いています。
そして、わたしは、コーチとインストラクターは同じではないと考えています。
一般的には混同されて使われ、同じ役割を示すものと捉えられているのが現状ですが。
言葉としては微妙です。しかし、私の中での解釈ははっきりと分けて考えています。
わたしは、コーチです。
そして、コーチは、何かを教えるのことがメインではなく、
コーチを受ける方を、正しい方向へ導き、自分から道を開いて行けることを、
徹底的にサポートすることです。
そして、その中で、前へ進めるためのヒントとして、
役立つと確信している情報をお伝えします。
あなたに関係のないことまで、お伝えすることが、私の使命ではないのです。
インストラクターは手取り足取りして、懇切丁寧に教える役目と考えています。
教えると決められたことを、きっちり全部教えることが
インストラクターだと、私の中では定義があります。
導くと教えるでは、私の中では大きな違いです。
私が勝手に師匠としているハービー・ペニック大先生の話の中でこんな話があります。
コーチングの時に、お客様に見えない物陰から、
お客様がショットしている様子を眺めています。
そして、何を伝えたら一番いいのか、そればかり考えます。
そんなハービーさんが、私は大好きです。
そして、良いコーチングができた暁には、コーチングを受けた人が、
自分の力で目的が達成できたと感じられます。
コーチの存在意義すら消えていくことが、究極のコーチングの結果です。
動物の親が、子供が独り立ちできるところまで一生懸命に育てたら、後は離れて行くように、
教えられなくても、自らの力で生き抜いて行けるように育てることが、本当のコーチングの姿です。
また、コーチはやる気のない人にはなんの役にもたちません。
コーチングを受けるあなたが、自ら考えて、前に進めるための、
最低限の知識や、やり方をお伝えしたりすることは、大切だと考えています。
また、実際にお会いしてのコーチングでも、どこが本来とは違った動きになっていて、
それはなぜかをお伝えすることで、あなたご自身が、修正することへの考えを巡らすことができます。
ですから、わたしは、必ず、なぜそのように修正しなければならないのか、
その理由を納得していただけるまで、徹底的にお伝えするようにしています。
コーチングを受けるあなたと、コーチとしての私が、
議論しながら練習することを大切にしています。
さらに、コーチングでは、コーチを受けるあながた、
自ら気づけるようにしたいのです。
そのためには、まず最初に目標をしっかり設定して、
宣言していただきます。
そして、ゴルフに対して、今までどのように考え、
どのようにゴルフと付き合ってきたか、お話を聞きます。
そうしていると、あなたご自身を振り返ることで、
自らのプレーを自らの口から分析しているご自分を発見できます。
そこから、あなたが考えるためのヒントとして、
私は、いろいろな材料を用意させていただいています。
一生懸命考えようとしていても、考えるための良い材料がなければ、
考えを進めることはできなくなってしまいます。
また、本質を勘違いして考えていては、複雑な迷路に迷うだけになってしまったりします。
そのため、あなたが、可能な限り勘違いしないで、本質を見つめることができるための、
材料を提供することが、わたしに与えられたコーチとしての役目の一つとして日々活動しています。
あなたご自身でも、実習できるようなコンテンツを、ご提供することが大切だと考えています。
あなたが、何か、ふと疑問に感じた時に、すかさず調べることができるといいですね。
あまりにも多くの情報が交錯していては、さらにわからなっくなってしまいます。
一貫した考え方で、一貫して貫いた論理のもとに、
拾い読みできるような資料が手元にあることが、知りたいと思ったその時に、
知ることができるための、重要な鍵です。
本を読んだり、DVDを観たりして、プロの試合を観戦するなど、
その中に何かのヒントを得ようとすることも大切です。
多少遠回りして、悩むことは、将来の飛躍のためには大切ですが、
迷路を堂々巡りでは、単なる時間の浪費になってしまいます。
コーチとは、うまくなりたいと心に決めた方と、共に歩いて行くことですね。
そして、うまくなりたいと思っているあなたを、
余計なことを言わずに、徹底的にサポートさせていただきます。
では、また。
追伸:
私がETGAでサポートをしている梶川プロのシャドースイングが
現在キャンペーン中とのことです。
梶川プロは晋呉さん同様、まさに「練習の虫」で、
一緒に仕事をしていて学ぶべきことがたくさんあります。
シャドースイングは、ショット基礎アプローチ同様、
スイングを安定させるためには最適です。
両方やれば間違いなく、あなたのゴルフは変わります。
↓
http://g-live.info/click/ss150917/
期間限定だそうなので、お早めに。