2016.06.26
From:大森睦弘
岐阜の自宅より、、、
こんにちは、大森睦弘です。
さて、今回は
「体・代償動作の恐ろしさ」
というお話をさせていただきます。
代償動作って、あまり聞いたことないかもしれませんね。
代償動作というのは、本来の体の動かし方とは
違った動かし方をする事を言います。
例えばどんな例があるかと言いますと、
普段の生活で言うと次のようなことがあげられます。
四十肩、五十肩
肩は、肩甲骨があって、
その肩甲骨の上に肩関節が乗っかっています。
ところが、本来は肩甲骨をスライドさせるように動かさなければならないところを、
肩関節を動かして肩甲骨の動きと同じような動きをしようとしてしまうことがあります。
四十肩、五十肩といわれる症状がこの肩甲骨の代償動作で肩関節を動かしてしまうことで、
肩関節に関連する筋肉やその筋肉と骨の接合部である腱に炎症などが発生してしまう故障です。
肩甲骨は大きな筋肉で動かされています。
しかし、肩関節は肩甲骨を動かす筋肉群に比べたら比較的小さな筋肉になります。
大きな筋肉で動かしていた肩甲骨の働きを、それよりも弱い
肩関節の筋肉を使って動かそうとしてしまうことで、
肩関節周りの筋肉には本来の負荷よりも大きな負荷がかかります。
そのため、肩関節周りの組織は耐え切れなくて故障してしまいます。
猫背
そのほか、故障とまでには至らないとしても、
普段の生活での悪い体の使い方があります。
それは、背中が丸くなる猫背です。
体を体の正面方向へ曲げると、背中側の筋肉と腱が張ります。
その張りを利用して体が前に倒れてしまうことを
防止しようとすると、猫背となります。
本来は、背骨に沿って付いている脊柱起立筋を使って、
上半身がおなか側に丸まることを防ぎます。
ところがこの脊柱起立筋を収縮させることをさぼり、
筋肉が伸ばされることで上半身がおなか側にまるまることを阻止していると、
筋肉や腱がだんだん伸びてしまい、背中の丸まり方も大きくなってしまいます。
そして、ゴルフで背中を丸めて上半身の前傾角を作ってしまうと、
その分股関節を曲げて骨盤を前傾させる角度が浅くなります。
骨盤の前傾角度が浅いとなると、スイング中にセットアップでの
前傾角度を維持するためには、骨盤から上を横方向へ曲げていかなければ
セットアップでの前傾角度を維持できません。
バックスイングが進むに連れて上半身をうまい具合に
横に曲げることそのものも難しいことですが、さらに問題が発生します。
上半身を横に曲げて行ってみてください。
どんな感じですか。
ちょっと曲げ始めただけで苦しいですね。
これと同じことが、骨盤が立ったままでは
バックスイングの早い段階から発生してしまいます。
苦しければ少しでも楽になろうとして、
横への曲げをゆるめます。
そうすると、とたんに前傾角度は浅くなり、
いわゆる起きあがりとなります。
いったん起きあがってしまうと、
元の前傾角度にはほぼ戻れません。
戻るためには、高度な能力が要求されてしまいます。
また、バックスイングで上半身を横に曲げるためには、
上半身の左サイドに力を入れて筋肉を収縮させる必要があります。
ということは、左肩甲骨に関連する筋肉にも力が入ってきます。
そうなると、切り返しからダウンスイングにかけで左肩甲骨を
体の正面方向へスライドさせることで上半身を大きくしならせたいと思っても、
思うようにしなってくれなくなります。
結局、パワー不足のショットです。
セットアップで、骨盤が必要なだけ前傾していない猫背というだけで、
スイングちゅう苦しいだけではなく、
スイングパワーも落ちてしまうのですから恐ろしいものです。
セットアプで楽をしようとして、逆にスイングのなかでは
苦労した割に結果がでなくなってしまいます。
普段の生活のなかでも、流しで手を洗うとき股関節を曲げないで
背中を丸めてかがんでいませんか。
その悪い姿勢が、積もり積もってゴルフへ大きな課題を積みあげることになりますよ。
その他のゴルフでの代償動作の例
その他、ゴルフでよくある代償動作の例をリストアップしてみます。
(1)バックスイング開始を下半身から動くのではなく、
手でクラブを横に振りだす
(2)バックスイングで骨盤を斜めにターンさせるのではなく、
下半身を固めて腰から上を右にねじる
(3)バックスイングで背骨を中心にターンして背骨の前側にある
重い内蔵を打ち出し方向へ向けることで体重移動するのではなく、
頭を右に動かして右に体重を移す
(4)トップに向かって左肩甲骨を体の正面方向へスライドさせるのではなく、
右肘を上にあげる動きでクラブ高くあげる
(5)トップに向かう切り返しで下半身から動き始めるのではなく、
上半身の力で振りおろす
(6)ダウンスイング開始で腕とクラブを真下に落とすのではなく、横に振る
(7)ダウンスイング開始で両股関節を入れて重心を落とすのではなく、
腰をいきなり水平に回す
(8)ボールヒットに向かって両脚を地面に対して縦に蹴って
腰を斜め回転させるのではなく、腰を水平に回す
(9)ボールヒットに向かって背骨を中心としてターンすることで
背骨の前側にある重い内蔵を打ち出し方向へ向けることで
体重移動するのではなく、体重を左脚に乗せようと上半身を突っ込む
など、数えあがればきりがありません。
これらのひとつひとつを詳しくお伝えするとよいのかもしれませんが、
まずは、あなたご自身のスイングをこれらの観点から見つめなおしてみてください。
そうすると、なぜそうすることが良いのだろうとか、
いろいろ疑問が湧いてきます。
今回はこれらのことを説明させていただくことが目的ではありませんので、
いくつかお話させていただくだけで、その他の詳しい説明は割愛させていただきます。
いずれにしても、ゴルフのスイングを見ただけでも、
ここにあげさせていただいた項目よりもかなり多くの代償動作が行われています。
そして、それらの代償動作では、苦労した割に結果がついてきません。
がんばって飛ばそうとしたのに、思ったほどには飛距離は伸びません。
へたをすると、四十肩、五十肩のように、体を壊してしまうことにもなります。
ここにリストアップさせていただいた代償動作のいくつかを、
あまり文章が長くならない範囲でお話しておきます。
バックスイング開始の代償動作
ゴルフスイングでの代償動作の代表各となるのが、
上記のリストの(1)バックスイング開始を下半身から動くのではなく、
手でクラブを横に振り出す動作です。
手先でクラブを動かすと、
本当にクラブをどんなところにでもあげることができてしまいます。
あなたも試しにクラブを持って普通にセットアップして、
手でバックスイングをいろいろなところに持って行こうとしてみてください。
本当に手だとどこにでも簡単にクラブを持っていくことができます。
手の自由度が高いことで、逆にそれが仇となり、
バックスイングの代償動作となっています。
次に通常にセットアップしたところから、
上半身を力で固めて絶対に動かないようにして、下半身の動きだけで
バックスイングをいろいろなところに持って行こうとしてみてください。
どうですか、手とは雲泥の差で、下半身でヘッドを運べる範囲は
手で行う場合に比べて格段に狭くなります。
また、手が先に動くと、その反作用で下半身は右にターンしにくくなります。
そのため、手が少しでも先に動くことで下半身は思ったようには動けず、
バックスイングで動けないとダウンスイングでもしっかり動けません。
逆に、下半身が先に動いてくれるなら、手は何もしなくても
ハーフウエイバックからその少し先まで
クラブは最高にいい軌道をたどりやすくなります。
スタンスの幅が広いほど、下半身の可動域が大きくなるので、
下半身だけでクラブを動かせる範囲も広くなります。
そして、スタンスの幅が広いほどヘッドはたくさん動いて
より多くのエネルギーを下半身から受けているので下半身を使いきった高さでの運動速度は速く、
そのまま少し腕で軌道をたどらせてあげるだけで、最高のトップに向かいます。
そうすれば、スタンスの幅でスイングの大きさも決めることができます。
スタンスの幅が腰の幅程度である30cmぐらいなら、
ハーフウエイバックのちょっとだけ下までは下半身の動きだけで
クラブをあげることができます。
ドライバーショットでスタンスの幅が50cmぐらいになったら、
下半身と使い切ると手元が胸の高さぐらいまであがってきます。
クラブが下半身の動きで良い軌道をなぞってくるなら、手はそこまでは何もしなくてもよく、
良い軌道上を動いてきたヘッドの動きを少しサポートしてあげる程度で最高のトップとなります。
下半身を使い切るまでで手が行うことといえば、コックを少し入れて
ヘッドが打ち出し後方へ1mぐらいまっすぐ動くことぐらいでしょうか。
下半身が動けるだけというのは、右膝はほぼ伸びきり右股関節も伸びてきますが、
セットアップでの前傾角度を維持するぐらいはまだ右股関節は曲がって入っている状態です。
右足母指球の少し後ろを中心として地面をとらえ、右脚を長くして
地面を押し伸ばす動きで右のお尻を右後ろポケット方向へ押し込む動きを行えばいいです。
そうすれば、セットアップでの骨盤の前傾角度を維持して動けます。
サンドウエッジで15yキャリーさせる場合は、
スタンスの幅は腰の幅程度である約30cmです。
このスタンスの幅で左肩と手首をしなやかにしていると、
下半身の動きでハーフウエイバック直前まであがってきたヘッドは、
その勢いでハーフウエイバックの少し上であるシャフトが水平から少し
あがったあたりまできて切り返されます。
バックスイング開始から、下半身だけで動けたら、かなり窮屈に感じます。
これではクラブを振れないと感じます。
しかし、その感じでいいのです。
だって、クラブを振るのは下半身が上半身をしならせて、
その上半身のしなり戻りですから。
体重を移動させようとする
バックスイングで背骨を中心にターンして背骨の前側にある
重い内蔵を打ち出し方向へ向けることで体重移動するのではなく、
頭を右に動かして右に体重を移す代償動作について。
背骨の前側にはあなたが今まで育ててきた重い内蔵があります。
ですから、背骨を中心にしてターンするだけで、
おなかが向いた方向に体重は移ります。
それを、体をターンさせるのではなく、体重を右に移したいから
右に乗ろうとして頭を右に動かしていては、正しく体重は移動しません。
重い頭を右に動かし過ぎると、ダウンスイングでは頭を元に戻すだけで必死となり、
スイングどころではなくなってしまいます。
ただし、スタンスの幅が広いほど、
バックスイングで右脚で地面を真っ直ぐに踏めるところまで腰を少し右にシフトさせることは、
その後背骨を軸としてターンするためには必要な動きです。
単に右に体重を移したいとして頭などを動かして右に移動しようとするのではなく、
右脚で地面を真っ直ぐに踏むという目的のために腰を右に少しシフトします。
理想的には、背骨を中心にしてターンしたいのですが、
スタンスの幅が腰の幅よりも広い場合には、
ちょっとだけ理想のパターンに入るための準備が必要ということになります。
腕とクラブを真下に落とす
ちょっと長くなってしまいましたが、ダウンスイング開始で
腕とクラブを真下に落とすのではなく、横に振ろうとする、という
代償動作についてもお話しておかなければなりません。
真下に落とすことも、クラブを振っていることと同じです。
そうです、真下に落ちることそのものもクラブをすでに振っているのです。
真下に落とす動作では、クラブを振ってくれているのが重力ですから、
なんだか振った気がしませんね。
両腕の重さを足すと、なんと体重全体の12%とされています。
体重80kgなら9.6kgにもなります。
実際には腕は肩につながっているので、
肩で支えられている分は減額されます。
いずれにしても約10kgもの腕の重さを使ってクラブを振れるのですから、
その重さをマイナスとしてではなくプラスに活用したいものです。
真下に落とすということは重力を利用してクラブを振ることになります。
横振りでは重力は使えません。
しかも、トップから真下に落ちればそれだけヘッドスピードが遅い段階で
インパクトの軌道面に乗ることができます。
ところが、トップからいきなり横振りでは、ヘッドスピードが速くなってきて
いよいよボールヒットというところで急激にインパクトの軌道面に近づくことになってしまいます。
それではクラブに清々とパワーをかけることなどできません。
高速で動くヘッドをやっとの思いで
ボールにヒットさせるという感じになってしまいます。
代償動作の恐ろしさ、だいぶわかっていただけたでしょうか。
普段、自由度の高い腕を自在に使っなどの代償動作でスイングしていると、
ざっと見ただけでもこんなにもいろいろな問題が発生してしまいます。
あなたも、ひとつづつ代償動作を潰していって、
努力がそのまま結果に結びつきやすいショットを手に入れましょう。
では、また。
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