From:古賀公治
尼崎テクノランドより、、、
こんにちは、ティーチングプロの古賀公治です。
今日はあなたに、
「ジーン・サラゼン…キャディとの二人三脚」
について、お話ししたいと思います。
ジーン・サラゼン。
一度は名前を聞いたことがあるかもしれませんが、
ゴルフをするあなたなら間違いなくお世話になっている
「アレ」を発明したことで有名なゴルファーです。
「サンドウェッジ」を発明したサラゼン
ジーン・サラゼン(Gene Sarazen, 1902 – 1999)は
アメリカ・ニューヨーク州出身で
1920年代から1930年代にかけて活躍しました。
プロゴルファーとして史上初の
「キャリア・グランドスラム」を達成したことでも有名ですが
※キャリア・グランドスラム:
メジャー選手権(全英オープン、全米オープン
全米プロゴルフ選手権、マスターズ・トーナメント)を
生涯のうちにすべて制覇すること。
何よりその名前は、英国リンクスコースのバンカーを
攻略するために開発された「サンドウェッジ」を
発明したことで最も有名です。
あるいはジーン・サラゼンの名前は、日本では
「ジーン・サラゼン・ジュンクラシック」
の名前でご存知の方も多いかもしれません。
サラゼンはこのトーナメントの主催者として毎回来日。
そのことにより、日本のゴルフファンにとっては
他のレジェンド選手に比べて、なじみの深い名前となりました。
ちなみにこのジーン・サラゼン・ジュンクラシックは
彼が97歳の天寿を全うした1999年まで開催されていました。
キャディとの友情物語…
1920年代当時、ジーン・サラゼンは何度か
全英オープンへ参加していましたが
どうしても勝つことができませんでした。
1928年、イングランドのケント州サンドウィッチで行われる
全英オープンに向かう大西洋上の船中でのこと。
勝てないことに悩み、先輩でありライバルでもあった
ウォルター・へーゲンに相談をしました。
「(全英)オープンには、絶対に勝ちたい」
そのように相談に来たサラゼンに、
ヘーゲンはこう言い放ったのです。
「お前は勝てない。
だが俺なら、お前を勝たせてやれる」
その言葉、サラゼンには意味がわかりません。
ですがヘーゲンはウィンクをし、
こう続けました。
「俺のキャディーをゆずろう。
彼がいれば、お前は優勝する。
だがコイツは、自分の気に入ったやつにしかつかないぜ」
そのキャディの名は、スキップ・ダニエルズ。
すでにその時60歳を越した老キャディは
少し片足が不自由でした。
二人は幸いにも意気投合し、コンビを組むことになりました。
ダニエルズは有能で、コースの攻め方を熟知し、
サラゼンを励まし続け、さらに深い友情のきずなで結ばれました。
そしてついに本番。
2日目の13番までは順調でした。
ですが14番ホール、ダニエルズの忠告を聞かずに、
一気に勝負をかけようとしたサラゼンは「7」を叩いてしまいます。
結局これが響き、またしても優勝は
ウォルター・ヘーゲンのものに。。。
試合終了後、忠告を無視したことをわびるサラゼンに
ダニエルズはこう言いました。
「サー(Sir)。もう一度、いっしょに戦えますか?
私が死ぬ前に、あなたにオープンを勝たせたい」
1932年。再び全英オープン…
1932年。再び全英オープン出場のために
サラゼンはサンドウィッチの地に。
ですが、全英の会場でサラゼンを迎えたダニエルズは
以前より年を取っていて、
「あなたのバッグは、どこですか?」
まともに目も見えていない様子でした。
それを見たサラゼンは
「ダン、私のクラブはあなたには重すぎます。
病気だと聞いていたし、
今回は若いキャディーを雇いました」
サラゼンの言葉が終わらないうちに
ダニエルズはこう言いました。
「分かりました、サー。
あなたがそう思うなら、
きっとそれが正しい選択です」
ところが、この時に組んだ若いキャディとは呼吸が合わず、
練習ラウンドは最悪の出来でした。
そして試合二日前の夜のこと。
サラゼンは地元の名士であった貴族、
イニス=カー卿の訪問を受けました。
「あなたの友人達はみんな、
あのダニエルズなら勝利を呼び込めることを知っています。
みんな、あなたに優勝してほしいのですよ」
それを聞いたサラゼンは、
「私も、同じことを考えていました。
ダニエルズが、ただ一つの解決策だということを」
全英オープンの快進撃。そして…
ダニエルズのアドバイスによって
サラゼンは初日から快進撃。
初日はトップ、そして翌日にはコースレコードタイも記録。
結果的には初日からトップを走る完全優勝でした。
しかもこの時にサラゼンが叩き出した「283」というスコアは
1927年にボビー・ジョーンズがセント・アンドリュースで記録した
「285」を破る新記録となったのです。
サラゼンはダニエルズにも表彰式に出て欲しいと願ったものの、
当時のイギリスの習慣はそれを許しませんでした。
ダニエルズとの別れ際、サラゼンはたくさんの謝礼金、
そして愛用のコートをプレゼントし、
来年開催のセント・アンドリュースでの再会を、約束しました。
しかし、数ヵ月後。。。
イギリスの友人から手紙が届きました。
ダニエルズが亡くなったという知らせでした。
ダニエルズは死ぬまで毎日、パブの仲間たちに
「サラゼンと自分がいかにして全英オープンに勝ったか」
ということを。。。
パブの中でサラゼンのコートを決して脱ぐことなく、
語り続けたそうです。
「ダニエルズが亡くなったと聞いた時、
私は誰よりも深い悲しみを味わっていました」
キャディとの二人三脚でつかみ取った全英オープン。
ジーン・サラゼンとキャディとの、感動的な友情物語でした。
今日はこんなところにしておきます。
もし疑問については、コメントいただだいたものから
お答えできる範囲で順次お返事を書いています。
画像付きでないと説明が難しいものについては
お答えできないことがあることをご承知ください。
なおお読みになった方は、
そちらについても再度コメントをいただけると
「既読」かどうかが私から見てもわかるのでありがたいです。
それでは、今日はこのへんで。
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花田佐紀夫様
ありがとうございます。また、こういったお話しも取り入れていこうと思っています。今後とも宜しくお願いします!
大下喜幸様
相性と共に、「何も言わなくてもタイミングが合う」という間も大切な要素になります。
すばらしいリスペクト物語に感動しました。アヴェレージゴルファーの私には、キャデイの素晴らしさは経験したことはないので、なかなか実感は湧きませんが。
しょうちゃん
有効なデータを集めて分析し、いつでもプロに伝達出来るように準備しているのがキャディの努めです。仕事に置き換えると如何でしょうか。コメントどうもありがとうございます。
お二人のお話、とても感動しました。偉業を成し遂げるには、必ずその人には寄り添っている方がいますね。
成し遂げた人には人徳が必ずありますね。ヘーゲンがダニエルズを・・・・。ダニエルズはサラゼンの人格を見抜いたでしょうね。
ゴルフを通じて、人生の糧になるお話をいつもありがとうございます。
YAYASUさん
どうもありがとうございます。トム・ワトソンとブルース等、伝説のゴルファーが語る奇跡の友情のお話は多々あります。
トム・ワトソンとそのキャディの物語…
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またご紹介していきますね。