From:徳嵩力一
千葉のクラブ工房より、、、
こんにちは。プロクラブフィッターの
徳嵩力一(とくたけ・かついち)です。
今日なんですが、あなたに
「クラブメーカーが抱えるジレンマ」
という話をしたいと思います。
今日の話は、ゴルフクラブ業界の
裏話的な内容になります。
ですが、ゴルフをやっているあなたにも
何らかの形で役に立つ内容だと思います。
かつてのゴルフクラブの制作や設計というのは、
ごく限られた一部の人間にしかできないものでした。
ですが、コンピューターなどが発達して、
開発は以前よりもしやすい環境にあります。
そう、確かに状況としては整っているのですが。。。
パソコンの普及、CAD(キャド)の普及
ちなみに余談ですが、クラブの設計というものを
メーカー各社で自社でやりはじめたのは、
おそらくこの10年、20年いくかいかないかなんです。
それまでは、クラブの設計会社にメーカーが依頼して、
新商品を開発していました。
自分が師事した竹林隆光(たけばやしたかみつ)が作った会社、
株式会社フォーティーンもそんな設計会社の一つでした。
まあ、そうした設計会社は黒子、裏方の仕事なので、
かつては一般には名前を知られることはありません。
ですが。。。パソコンが発達して
「CAD(キャド、computer-aided design)」
と呼ばれる「コンピュータ支援設計」が普及したことで、
クラブの設計自体も以前より敷居の低いものになりました。
そうしたことで、かつては外注していた設計を
自社で比較的気軽にできるようになったんですね。
設計したものを360度ぐるぐる画面上で回して
どうなっているのかがひと目でわかるようになりました。
ちなみに余談ですが、CADが普及したことで
設計会社に仕事が外注されなくなったことで
「設計会社として成り立たないから、
メーカーとしてクラブを売らないと商売が成り立たない」
ということで、フォーティーンも
ゴルフクラブを作って売るメーカーになったわけです。
数字上で言えば飛ばせる。が…
そうしたCADが普及してくると、
開発のメーカーも数字を把握できるので
「こう設計すれば、スピン量を減らしたり
増やしたりすることが出来るな」
といった具合に、その数値を自在に
操ることができるようになります。
ゴルフは物理運動なので、数値的な計算が成り立てば、
そのようなことが言えるわけですね。
なんですが。。。
そうした数値合わせでクラブを作ることで
どのようなことが起こるかというと、
「一体誰が打つんだ、このハードスペックなクラブ。。。」
特にゴルフをやっていない人間でも
その数値を理論的に捉えて開発することはできるわけで、
そういうクラブが世に出ていたことが、一時期ありました。
もちろん、そういうクラブは
スペック的には確かに飛ぶように作られています。
ですが、理論値だけで出来ていますから、
ものすごくハードな内容になってしまうんです。
「でもこれを使いこなせるのは、この世の中何十人もいないよね」
「さすがにアマチュアには、ちょっとね。。。」
となってしまうわけです。
とはいえそれは過去の話
ボールを飛ばすための要素というのは、
すべて数式で弾き出すことが出来ます。
なので、その距離という数字を飛ばすためには
どこの数値をどうすればというのは
数字上は分かるようになっています。
ただし、ここには一つだけ条件があります。
「使えればね。。。」
という条件です。
理論値だけからゴルフクラブを作ると、
人が置いてきぼりになってしまいます。
ですので、私がかつて携わった開発の現場も
人のテストを積極的に入れていました。
(前回のメールマガジン)
クラブの新モデルは本当に「いい」のか?
↓
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とはいえ、ここまでの話は、
極端に行き過ぎてしまっていた「過去の時代の話」です。
今はどのメーカーも、それなりにバランスの取れた
クラブづくりがされている感じはします。
ただ、現在これだけいろいろなモデルが出ているということは
たとえばドライバーの飛距離を伸ばすという一つの目的だけを取っても
それだけクラブを選ぶことが難しくなっているとも言えます。
事あるごとに何度もこの場でお伝えしているように、
プレイヤーとクラブがマッチしていなければ
メリットを得ることができません。
ドライバーの距離を出すためには、最適なヘッドを選ぶことが重要です。
自分に最適なものを選ばないと、どうしてもロスが出てしまいます。
Aさんが「これが飛ぶ」と言っても、
別のBさんにとってみれば「飛ばない」かもしれませんし、
もちろん、逆もあり得ます。
ゴルフクラブの選択肢が増えた分、どれを選べばいいのかの判断が
一般のゴルファーには難しい時代になっているのかもしれません。
だからこそ、自分たちのようなフィッターという立場の人間が
必要になってきているわけですが。。。
別に私でなくても、チーム小原には
フィッティングを担当する人間が複数おりますので。。。
機会があればぜひ一度、フィッティングにもいらしてみて下さい。
それでは、また次回。
徳嵩力一
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